第3話:三日月-Ⅱ

職場に戻って“私”は同僚の目を盗み、日記を読みました。

日記には父親、母親のことを『パパ』『ママ』と呼び、姉は名前から『三日月』と日記で呼んでいる事が分かりました。

この事、どうか忘れないでくださいー

そう言い青年は少年に一冊のノートを渡した。特別に読ませてくれるらしい。少年は蝋燭を床に立て、その灯りを頼りに日記を読んだ。


ー○月20日

きれいな三日月が木の下に見えた。ぼくはママがおしえてくれたおだんごを作って食べた。おいしかった。


ー○月30日

今日も三日月がきれいだ。

おだんご、おいしいな。三日月にもひとつあげるね。


ー○月31日

今日もやっぱり三日月はきれいだっておもう。パパもママもあの日まではまい日やさしかった。どうしてらんぼうになったのかな?


ーその日までの字はしっかりと読めました。ですがそれ以降の日記はまるで地面を這うミミズのような字で読めるようなものではありませんでした

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