第16話 彼の事が好きで堪らない私

「愛している」

そう言ってくれた彼の言葉を胸に抱いて、私は今日も頑張っていくことができます。

「朋絵、今日は何がしたい?」

「そうですね、とりあえずデートしましょう! その後は、もちろん……ね?」

そう問いかけると、彼は微笑みながら応えてくれました。

「わかった、それじゃあ行こうか」

(やったー! デートだ!)

そんな喜びを噛み締めながら、私達は一緒に出かけることになったのですが、その前に朝食を済ませることにしました。

「いただきます」

そう言って、箸を手に取ると卵焼きを口にすると、優しい甘さが口の中に広がります。

その味を堪能していると、ふと視線を感じて顔を上げました。

そうすると彼と目が合い、思わずドキリとしてしまいます。

「朋絵、ついてるよ……」

(えっ!? どこぉ?!)

慌てて口元に手を当てる私でしたが、どうやら違うようです。

彼の視線が私の唇に向けられていることに気づいた私は、顔が熱くなりましたが、

それでも目の前の誘惑に耐えられず、恐る恐る手を伸ばして口元を触ろうとします。

しかし、彼の腕を掴んでいたために止められてしまい、その手が私の手を掴むと、

口元から離させて下の方へ導いていきました。

(やだ、そんなところ触らないで!)

心の中ではそう叫ぶものの、言葉にすることなど到底できません。

そんな私の様子を楽しそうに見つめている彼に対して、抗議の視線を投げかけるも効果はなし。

それどころか益々調子に乗っているように思えて仕方ありません。

結局私が解放されたころには完全に息が上がってしまい、立っているのさえやっとといった状態でした。

そんな私のことを気遣うように手を差し伸べる彼なのですが、

それがまた憎らしいほどに素敵に見えてしまうものですから、

私の怒りの炎はさらに激しく燃えるばかりで鎮まる気配がありません。

いえ、今はそんなことよりも大事なことを思い出しました。

「あっ、忘れるところでした!」

そう言って私は、急いで立ち上がると彼に近づき、そっと胸の中に飛び込みました。

突然のことに驚いていた彼も優しく抱き留めてくれたので、安心した私はその身を彼にゆだねます。

幸せを感じながら彼の顔を見つめると、彼は微笑みを浮かべたまま顔を近づけてきてくれます。

目を閉じた私に口づけをすると、次第に舌を割り込ませて、そのまま私の口の中に入ってきたのです。

驚きましたが抵抗するつもりなどありませんでしたし、

むしろ彼が与えてくれるものは全て受け止めたいと思っていますので、

自ら進んで受け入れる準備をして待ちわびます。

「キスはしないよ、朋絵」

「ええ~、どうしてですか?」

頬を膨らませながら不満を口にすると、彼は苦笑しながら答えてくれました。

「もっと、別なところでいっぱいしてあげるよ」

そう囁きながら、私の腰を抱き寄せ、ゆっくりと手と手を重ねてきたのです。

(きゃーっ、いきなりそんなっ)

しかし、ここで怯んでしまっては駄目です。

ここは勇気を持って行動しましょう。

そう決意し、彼の首に手を回すと自分からキスをしながら舌を入れようとしてみますと、

あっさりとかわされてしまい残念ではありました。

やはりそう簡単にさせてもらえそうにはないです。

でも諦めませんよ、絶対に奪ってみせます。

その後は、二人で買い物に出かけましたのでとても楽しい時間を過ごすことができましたし、

その後もデートを楽しんだりして、充実した時間を過ごせましたので、本当に幸せでした。

「朋絵、おいで」

そう言われて私は、彼の側に近づくとそっと両手で頭を掴んでくれます。

それが嬉しくて私も彼の首に両手を絡め、そのまま顔を近づけました。

最初は軽く、触れるだけのキスをします。

それだけでも気持ちよすぎて、何度も繰り返していたら止まらなくなってしまい、

いつの間にか夢中になっていました。

そうすると、彼もそれに応えてくれるように激しいキスをしてくれます。

やっぱりすごく素敵な人だと思った。

彼のことも大切にしたいと思いましたし、この人を生涯のパートナーとして

支えていく覚悟を持っているつもりもありますから、今日は思い切って自分から言い出そうと思っています。

「あのね、私、旅行へ行きたいの、ダメ?」

「もちろん、嬉しいに決まってるよ、ただ……」

その時、彼が顔を近づけてきたと思ったら、私の口を塞いでしまいました。

(やだ、ずるいよ)

抗議のつもりで叩いてみたりもしたんですけど、彼は全然気にしていませんでしたし、

それどころかもっと激しいキスをしてきましたから、私の方が先にダウンしてしまいました。

(うぅ……、ずるいぃいい! こうなったら意地でも仕返ししてやるんだからっ!)

とは言ったものの、どうやって逆襲したら良いか分からなかったので素直に伝えることにしたら、

「分かった、行くよ、一緒に行こう」

と笑って答えてくれました。

(やったー、良かった~!)

私は心の中で喜びの声を上げたのですけれど、それは決して表情には出さずに我慢しました。

なぜなら彼よりも大人なところを見せられればと思い、必死に耐えていたのですけど、

そんな私を裏切るかのように、彼は甘え上手な笑顔を浮かべてきます。

(もーっ、そんなに甘やかさないでよぅ!)

そう思いながらも、心のどこかで喜んでしまう自分がいて、

悔しい気持ちでいっぱいなのですが、それ以上に彼と触れ合っている時間が嬉しくて仕方ありませんでした。

(やっぱり、この人のことが好きなんだなぁ~)

改めてその想いを再確認することができて嬉しい気持ちです。

今はまだ子供っぽいかもしれませんが、少しずつ大人になっていくことで認めてもらえるように頑張ろうと思いましたし、

ずっと一緒にいれば、自然と夫婦としての関係を深めていけば、いつかきっと満足していただける自分に成長できると思っていますので、

焦らず一歩ずつ前に進んでいきたいと思います。

「朋絵、おいで」

そう言って彼は、手を広げた。

(恥ずかしいよぉ……でも、嬉しい)

でも、ここは素直に従って彼の胸の中へと飛び込こんでしまう私なんですけれど、

そんな私を愛おしそうな目で見つめてくる彼を見ていると、幸せすぎて涙が出そうでした。

(これからも、ずっと一緒にいてね……)

心の中でそう思いながら、私は彼にぎゅっとしがみついた。

久しぶりに二人の休みが重なったので、ゆっくりしようということになり、

二人で出かけることに決めた。

ただ、あまりに混みすぎているのも煩わしいので、近場にすることにしたのだけれど、

その場所というのは映画館だ。

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