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SCP-1100『ガイアの血液』って、結局何なの?

               母なる大地へ。



お久しぶりです、中嶌です。まず最初に、最近身近な所で色々ありましてですね、中々投稿出来なかった事をお詫び申し上げます。べっべつにゲームで忙しかったからとかじゃないからねっ!

さて、形式的な謝罪も済んだので(こういう時に絶対反省しないのが俺の悪い癖ですが)、今日解説するのはSCP-1100『ガイアの血液』です。数ヶ月前にTwitterのフォロワーにリクエストされたものだということは、秘密にしておいてください。

それでは、行きましょう。


☆OCと特別収容プロトコル


OCはしっかりしていれば安全なSafeから、何が起こるか分からないEuclid、そして封じ込めが困難なKeterと、2回訂正されています。財団がなんとなくわかってきた人、もしくはあなたが財団職員なら、OCがSafeからKeterに変更された時点で嫌な予感がすると思われます。おめでとうございます、大正解です。

特別収容プロトコルも、OCが変わるとともに2回改訂されています。

まずSafeの時は、SCP-1100のサンプルを、生物を封じ込めるための施設、サイト-33の生体有害物質安全保管庫というところに保管されます。生体有害物質とか書いてますけど、この時はまだSafeですからね? そして、SCP-1100に関する実験は、少なくともセキュリティクリアランスレベル3の職員1人から承認を貰った状態でのみ行うことが許され、更にはレベル3生体有害物質取扱ガイドラインを完全に遵守しなければなりません。OCがSafeだろうと、レベル3生体有害物質なんで結構危険だと思われます。

そんで、Euclidの時。なんと、生物封じ込めサイト-33がぶっ壊れました。状況は後述しますが、そんなことがあったので、SCP-1100のサンプルは生物封じ込めサイト-26の『高危険度』生体有害物質安全保管庫に移されました。サイト丸々壊滅させたら流石に危険物扱いにもなるわな。そんで、SCP-1100に関する実験はセキュリティクリアランスレベル3職員2名の承認の下でのみ行うことが許され、生体有害物質取扱ガイドラインもレベル4になり、危険物から超危険物に進化してしまいました。

そして、現在の特別収容プロトコルですが、今までとは大きく異なってしまいました。というのも、サイト-█の真空強化封じ込めチャンバーという、もうSCP絶対封じ込めたいマン(あくまで)みたいな環境下に変わり、三重冗長化された密封コンテナ内にSCP-1100のサンプルをただ1つのみ収容します。コンテナの劣化は毎日検査しなければならず、必要であればサンプルは新しいコンテナに移動すべきですが、その際はいかなる気化の可能性も阻止するために手順1100-233/Jに従ってください、というもの。

ちなみに説明も2回変わってます。それも、今から解説します。


☆説明


SCP-1100は、天然の植物にすっごい変異を引き起こす有機物質複合体です。この有機物質複合体には、主に高分子のタンパク質と[編集済]から構成されているにもかかわらず、他の植物に「感染」という事象を引き起こします。密にならないよう、ソーシャルディスタンスを保つ事が大事になってきますが、そうして感染した植物は、以下の効果を発揮します。


・食用作物の外見は、人間に嫌悪感を催させるものへと変化します。

・食用作物の表面には棘が発生して硬化し、食用不能、消化不能となります。

・植物体内では人間に吐き気、痛み、重度の内臓損傷を引き起こす物質が生成します。


……絶対に自分は食べられたくないぞ、何が何でもだぞ、という強い意志を感じてしまいます。あと、食用作物と書かれていますが、この後観賞植物もアウトになります。

で、発見された経緯としては、1989年に起こったエクソン・バルディーズ号の原油流出事件(この事件自体はリアルで存在してます)が起こった直後、その近辺で、普通の植物がSCP-1100に「感染」していたところを財団が発見した、という流れです。しかし、SCP-1100が「これこれこういう事のせいで起こった」という決定的な発生源も無く、何で人間に対して敵対的なのも分かりませんでした。


☆[補遺1100-08: 事件報告: 生物封じ込めサイト-33の喪失]


そして、コトがついに起こってしまいました。SCP-1100の定期実験中に、ソレが自発的に気化してしまい、生物封じ込めサイト-33で育成されていた全植物に「感染」するというバイオハザードを引き起こし、追い打ちをかける様に発生したインシデントにより、収容違反が収束するまでにサイト職員の70%が死傷し、生物封じ込めサイト-33は完全に喪失しました。なので、生物封じ込めサイト-33の利用は中止され、残るSCP-1100のサンプルは全て生物封じ込めサイト-26に移されました。

……SCP-1100と同じところに植物を置いておくなよ、という意見は、少し酷でしょうか?

そんなドッタンバッタン大騒ぎのあと、憎らしくもOCがEuclidに格上げ。あ、危険性と異常性も増しました。今までは制限時間が72時間だったのに、それが48時間になったり、「感染」した際の異常性がその植物依存になりました。以下の通りに。


・塊茎状部位や大型の果実は奇妙な化学的変異を起こして爆発性または腐食性物質で満たされ、人間が触れると激しく爆発するようになります。

・植物の長い巻きひげや蔓は内部に筋肉様の構造を発達させ、人間を獲物として捕え押し潰すことが可能となります。

・植物の棘や針は人体に深刻な傷を負わせることが可能なまでに硬化し、人間の生理機能に対して強毒性を持つ物質で覆われることもあります。

・食用作物は、硬化または組成の変化によって食用不能、消化不能となったり、他の手段で人間の摂食時に危険をもたらしたりするようになります。


バイオハザード超えてきましたね。前回よりも凶暴に、そして最悪になってます。2番目とかリアルパックンフラワー(凶暴性アップ)みたいですね。3番目も、かったいハリ生やして、毒まで押しつけています。牛乳で解除出来ないかな?

そんで、SCP-1100の封じ込めは徐々に危険なものになってます。1989年の最初の封じ込め以降その作用の強度は増大しています。SCP-1100がどんどん強くなってってますが、それは多分……いや、後述しましょう。で、この時はまだ、SCP-1100を作ったのが財団と同程度の資金・技術を持った過激な環境団体のせいだと考えられていました。なので、もう世界中の過激な環境団体という環境団体が財団の監視下に置かれたわけです。


☆[補遺1100-17: 事件報告: 生物封じ込めサイト-26の喪失]


200█年█月██日の、[O5指令により編集]から06時47分には、サイト職員の「96%」が死傷してしまい、06時48分には生物封じ込めサイト-26の「核弾頭」が起爆され感染は収束しましたが、生物封じ込めサイト-26とその全職員が失われました。

折角生き残った残り職員の3%も、1分後には死滅してしまいました。普通に可哀想。ていうか、何で生物を封じ込めるサイトに核弾頭あるんですかね? それはいらないでしょ、絶対。

ドッタンバッタン大騒ぎ(2回目)が起こったため、OCがKeterに昇格しました。なんと、植物に危害を与えるだけでなく、動植物に危害が加えられるようになりました。そして、たとえば「感染」した動物のフンなどにも「感染」する要素を満たしています。で、24時間以内に変異します。その内容は……。


1:塊茎状部位や大型の果実は奇妙な化学的変異を起こして爆発性または腐食性物質で満たされ、人間が触れると激しく爆発するようになります。

2:植物の長い巻きひげや蔓は内部に筋肉様の構造を発達させ、人間を獲物として捕え押し潰すことが可能となります。

3:植物の棘や針は人体に深刻な傷を負わせることが可能なまでに硬化し、人間の生理機能に対して強毒性を持つ物質で覆われることもあります。

4:食用作物は、硬化または組成の変化によって食用不能、消化不能となったり、他の手段で人間の摂食時に危険をもたらしたりするようになります。

5:通常は穏和な草食動物と見なされている動物は徐々に力と攻撃性を増し、自身の安全を顧みず人間に危害を加えるようになります。

6:捕食性の動物は、他のより容易に捕獲できる動物を無視して人間を優先的に狙うようになります。

7:家畜化された動物は生理機能を変化させ、その肉は人間が摂取した際に消化不能となるか、致死的な毒を持つようになります。

8:ペットは野生化して飼い主に敵対的となり、しばしば身体的外傷を負わせるのに十分なほどに大型化します。


動植物ならほぼ全部変異してしまうのか、温和な草食動物から愛するペットまで凶暴化しています。ていうか、6番に至っては、そこらへんに弱った動物がいても人間を優先していますからね、どこまで人間を憎んでいるんでしょうか。

そして今、どんどんとSCP-1100は危険性を増しています。そのため、実験は全て停止されています。

いやもう、SCP-1100は、一体全体何でそんな人間を憎んでいるんでしょうか……? うーん、謎ですねぇ。どうなってるのか、あなたは分かりましたか?





    !!!!!!この先、O5指令によりレベル4機密に指定!!!!!!





[補遺1100-023: 事件記録補遺 Re: 生物封じ込めサイト-26の喪失]

はい、そういう事です。実は、生物封じ込めサイト-26が破壊された時、残骸から回収された破損した監視カメラ(お前、もしかしてギリ核耐え抜いてる?)によって、生物封じ込めサイト-26の喪失をもたらした事件は、██████博士と█████博士によって扇動されたことが分かっています。お前らのせいかよ。それが発見されたのは、200█年█月██日。0631Lの映像的証拠から、██████博士が収容違反してサンプルを取り出した後に、█████博士が武装警備員を武装解除して射殺したことが示されています。財団の武装警備員ブチ殺すとか█████博士、やり手だなぁ。

はい、感心している場合じゃありません。その後、生物封じ込めサイト-26環境管理システムの主要供給拠点から回収された0637Lのアクセス記録が異常を報告しており、SCP-1100は、この時点でサイト全体の空気と水の供給源に投入されたと思われます。

そんな事したら、もちろん壊滅する事も当たり前ですが、この後の調査で、██████博士と█████博士が、「過激な環境保護団体」のメンバーであった証拠が得られました。SCP-1100がEuclidの時から追っていた事が、ようやく分かった訳です。ちなみに、██████博士の自宅から回収された日記の抜粋が以下となります。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

200█年█月█日

今日、もう一度█████と話す機会を得た。彼はついに、条件に合う他の説明が有り得ないことに同意した。不可能なものを全て除外すれば、残ったものがいかに不合理に見えようともそれが真実なのだ。


SCP-1100は誰かが設計した物質ではない。文明に対するヒッピー共の過激な復讐というわけではないのだ。これは惑星の免疫反応だ。ガイア、母なる地球の我々に対する抵抗だ。


我々がそれと戦おうとするほど、事態はより悪化する。我々が彼女に仕出かしてきたことのために、彼女は我々全てが死ぬことを、消え去ることを望んでいる。我々に止めることはできないのだ。


ただ一つの選択肢は、我々が罪の責任を取って罰を受け入れることだ。明日、我々は計画を実行する。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

☆以下、考察につき。


と、いう訳です、SCP-1100は、要するに、母なる大地……ガイア地球の反抗だった、という事です。しかし、何故地球はそのような行動に出たのでしょうか? 実は、それは文章中に書かれています。というのも、「エクソン・バルディーズ号の原油流出事故」が起こった後に、SCP-1100という物体が出て来ました。

我々人類は、進化したとともに数々の知恵を絞り、より良い暮らしを手に入れてきました。しかし、その背景には、様々な環境問題があることも忘れてはなりません。森林伐採、CO2の排出問題、動物の絶滅、我々の母の大部分を占める「海」に廃棄されるゴミ問題……。

もう既に、我々の母は、ぼろぼろなのです。

それに気づかないで、我々は過ちを繰り返しました。そこに、エクソン・バルディーズ号の原油流出事故が起きて、耐えられなくなったのでしょう。そうして出来たものが、SCP-1100、という事です。もう我々の母は、我々を許すつもりはありません。免疫反応という形で、復讐の手段を選んだのです。

そして、タイトルにもある血液という文字。これは、恐らくですが、人類を指しています。地球という体の中を、血液という我々が駆け巡る。そして、昔の医療には、「瀉血しゃけつ」という方法があります。これは、「体の中の悪い血液を外に出す」治療法です。……もう、分かりましたよね?

瀉血する地球を、私たちは批判する事は出来ません。何故なら―――





            SCP-1100『ガイアの血液』





―――もとより悪いのは、人類ですから。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

☆宣伝タイム


http://scp-jp.wikidot.com/unnamed-file 

作品名 名前の無いファイル

著者v vetman

あんまりこういう事はしないんですけど、6月1日現在、SCP財団で100voteを手にした作品です。昨日投稿したばかりなのに、普通にすげぇ。事前知識もほぼ必要無く、手ごろな作品です。ぜひ、ご一読ください。あとこいつは俺の解説でSCPを知った要因の1人らしいです。俺すげぇすげぇ俺。

はい、調子に乗りました。でもそれが俺です。今後もよろしくな、v vetman。

あと、考察は俺が書いたものだけが正しいとは限りません。もしあるなら、コメントとかで教えてください(露骨なコメ稼ぎ)。


CC クリエイティブコモンズライセンスに準拠します。

SCP-1100‐ガイアの血液

http://scp-jp.wikidot.com/scp-1100

著者Aelanna

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