重厚な世界観とハートウォーミングな冒険の楽しさ。

世界的な偉人とも言うべき賢者・錬金術師のユリウスと、そのユリウスが手掛けた超高性能ゴーレム「メナス」を軸とした、ハートウォーミングな冒険譚。

その人間的な優しさと大人らしい振舞いに加え、決めるべき時には決めてみせる男らしさで、共に旅する娘たちを虜にしてしまう、ハーレムを築くタイプのユリウスですが、なんというか穏やかな性格な上に結構奥手だったり、実際に出来る男だったりするので、非常に納得のゆくハーレムっぷりを味わう事が出来ます。

何よりもユリウスに好意を抱く娘たちがまた、非常に心優しく真面目だったり、色々と苦労を背負っていたり「なんとか幸せになって欲しいものだ……」と、しみじみ思えるタイプばかりで、その子たちの報われる姿に癒されたりもします。

時にはハードな戦闘描写があったり、辛く重い現実に直面したりする事もあるのですが、そういった辛い出来事を踏まえた上に築かれるユリウスと娘たちの絆は、とても純粋な物として捉える事ができ、読後感の良さに繋がっています。

世界観の設定も非常に凝っており、世界に奥行きが感じられ、それがキャラクターたちの確かな存在感に反映されていると思う次第です。
明るく元気な、時にほろ苦いボーイ・ミーツ・ガールな作品、読んで損の無い逸品です。