第6話 厚生労務省公安準備室

 今日まで事態は目まぐるしく変転した、その事を恭一は今、改めて認識する。

 

 5年、僅か、5年。


 アフターコロナ。


 無論、影響を受けなかった訳では無い。


 事態は加速され、退行もした。


 ある意味猶予を得られた要素もある。


 薬害? 何を温い事を。


 ワクチンを、ワクチンが、ワクチンこそ。


 何よりも希求されたのだ。


 だがしかし、事態は緩やかに、より窮迫した。


 アフターコロナがウィズコロナとして安定化を見せ、再び薬害の本質、

 人類存亡の危機が表面化する事により。



君たちは自衛隊在職中決して国民から感謝されたり、歓迎されたりすることなく自衛隊を終わるかも知れない。非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。ご苦労なことだと思う。


しかし、自衛隊が国民から歓迎されチヤホヤされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡のときとか、災害派遣のときとか、国民が困窮し国家が混乱に直面しているときだけなのだ。


言葉を換えれば、君たちが日陰者であるときのほうが、国民や日本は幸せなのだ。


どうか、耐えてもらいたい。自衛隊の将来は君たちの双肩にかかっている。しっかり頼むよ。


 自分もある意味そうだ。


 否……。


 我々、政治家を含めた官僚、公務員、パブリックサーバントその総てが、税金泥棒、穀潰し、ムダ、そうした有権者の白眼視に晒され、社会と世界が安逸にある、それこそが理想なのだ、と。

 自分は不要不急の事後の備え、冷や飯喰いでキャリアを終えればそれで幸せだったのだと。

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