片付け

 ひとりの女性が清掃事務所を訪れた。

「ポスター見たんですけど、片付け、手伝ってていただけるんですか」

「ええ、もちろん。我々は清掃代行ですから」

「私、本当に片付けが苦手で……自宅が本当に酷いことになってるんです。特に生ごみが……それでも大丈夫なんですか」

「そういう方の為に我々がいるんですよ。安心してください。どんなおうちでも綺麗にしてさしあげます」

「私、ほんとに――母も父も片付けられなくて……」

「ご家族と住まれてるんですね」

「いえ、今は一人なんですけど……姉も妹も片付けられなくて……お恥ずかしい話ですけど」

「今はそういったご家族もかなりいらっしゃいますよ。別料金で清掃のレクチャーなども致しますが、いかがですか?」

「じゃあ、お願いします」

「一名様あたり五百円頂いておりますが……」

「四人分、お願いします」

 彼女は帰っていった。後日、清掃業者は彼女の家を訪れた。庭付きの一軒家であった。業者は母屋へ一歩足を踏み入れた直後に警察へ通報し、彼女は逮捕された。

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