かみさま

 私の村にはかみさまがいらっしゃいます。かみさまは山の向こうの小さなほこらにいらっしゃって、宮衆の方々がお世話をしております。


 かみさまはとても慈悲深くおられて、村の人々が困った時には、その御神体を削って私たちを助けてくださいます。かみさまはご自分のことをかえりみられない方で、何年か経つと御神体がなくなってしまいますので、数年に一度、新しい御神体にうつられます。どんな災いも退けてくださる、ありがたいかみさまです。


 先日も私が子供が出来ますようにと願いましたところ、なんと御肝を分けていただき、ありがたいことに三年ぶりに我が子を授かりました。


 前の子は私が目を離した隙に、ふいといなくなってしまいました。村長さんは神隠しだとおっしゃっておりました。七才までは神のうち。可愛い我が子をないがしろにしていると、その子をかみさまが連れて行ってしまうのだと。


 そのようなことがないよう、この子はしっかりと見守って育てていきたいと思っております。

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