第9話 絶望の過去と希望の一人の読者

 私は小柳柚木。

 

 中学2年生の時に小説を書き始め、ネットに投稿している。

 

 ある時友達に、小説を読んでもらおうと思い紹介した。

 

 それが、病んでしまったきっかけでもあった。


「読んだけど全然つまんないよ。これ」


「そう?面白いよ」


 最初は感想が分かれてあったが、読んでくれたことが何よりも嬉しかった。

 

次第に、学校でうわさが広まり人気者に近い存在になっていた。


「頑張ってね、応援する」


 そんな声までもらえるようになり、とてもやる気と勇気がもらえるようになった。

 

しかし、それをよく思わない者が存在することに気が付かなかった。


「てめえ、ちやほやされていい気になってんじゃねえぞ!」


 暴力を振るわれたり、冬には上靴を隠されたりすることもあった。

 

そして酷かった時は、やはりあの時。


「今日も見てくれてる人がいる。嬉しい」


 それはいじめが多く、ふさぎ込んでいた日曜日。

 

学校が休みの日は、たくさんの人が勇気を出して投稿した作品を見てもらえる。

 

その時にたくさんのコメントをもらえること、読んでもらえることがうれしいし楽しかった。

 

だが、それを絶望へと変える悪魔か、死神が襲った。


『読みましたけど、くそつまんない。それに読者に対して陰口言ってますよね? 最低。どうせ気に入らないコメントしただけですぐ切れる人なんでしょ? マジありえない』


 こんな非道なコメントが書き込まれていて、ネットであるせいかどんどん拡散されていく。


「黙れ! 黙れ! 黙ってよ!」


 弁解しようとしても、数で押し通されてしまう。

  

そして、私の小説のコメント欄は炎上し、涙とともに小説を書く情熱を失った。


 学校の登校日、私は周りの目をよく気にするようになってしまった。

 

そのまま中学を卒業した後、小説に対して未練があるのか投稿はまだ怖くてできないにも関わらず、また書くようになり高校の初登校日に部を作った。


 あれから1年経ち、2年生になって出会えた。



 ~現在~


「雅人くんが私を救ってくれたの、

 だからお願い起きて!」


 すると、掴んでいた右手が動いた。




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