第18話 守護騎士

俺こと黒鉄哲人はトルガルドを歩いていた

邪龍神教の襲撃があったのだ

一応見ておきたい・・・というのは建前だ

フィルの呪いについて受けた衝撃も大きかった・・・じゃあそれが原因で街を歩いているのか?そうでもないのだ


「はぁ ホウレンソウって大事だな」


特に相談が大事だ

話は少し遡る 食堂を出る前

ハムレットさんにした1つの質問


・・・


この場の雰囲気がとても重たくなっている

何気ないことかはまた知ってしまった


「・・・」


「・・・」


俺もハムレットさんも黙ったままだ

気まずい さっきと変わって静かなハムレットさん 雪崩ような質問攻めはもうない

ある意味狙い通りだ

食事は喉を通らなくなったが

静寂というものはあまり好きでないので

仕方ないなにか質問をしてみることにした


「あのすいません 守護騎士パートナーってなんなんですか?」


「これまた突飛な質問ですな 英雄殿」


「すいません 」


「いえいえ 守護騎士パートナーというのは皇族の方々を最も近くでサポートする存在です 一の騎士とも言いますな」


「なるほど」


「あとは女性が男性に対して使うこともありますな」


「そうなんですか どんな時にです?」


「まぁ 主にプロポーズですな」


「なるほど! プロポーズ・・・?」


「ええ 騎士と主は固い絆で結ばれた関係

それが守護騎士パートナーともなればなおのこと あなたの側に一生侍らせてほしいという意味で使いますな」


「・・・」


おお! じゃあ 俺フィルに告白したってことか!・・・え?


「ええええええええっ!」


「ど どおされました英雄殿っ!」


俺の取り乱し具合に焦ったハムレットさんも慌てている

だがとにかくやらかしたことに気づいた俺は

居てもたっても居られずしかしフィルに話しかける度胸もなく街に飛び出した


そして今に至るわけだが


「はぁ ヘタレなんて言われるわけだな

全く」


フィルにどんな顔して会えばいいんだ?

いや待て そもそも俺はフィルのことをどう思っているんだ?・・・

可愛いと思う 守りたいとも思う けど

一人の女性として好きかと言われると


「嫌ってわけじゃないし でもなぁ」


年齢イコール彼女居ない歴の俺からしたら

あまりにも難しい問題だった


・・・


「へっ? 哲人が奇声をあげて飛び出していった?」


「ええ そうなのです 守護騎士ガーディアンの話をしたら 急に」


「・・・なるほど わかった 報告ご苦労」


食堂に降りてきてみればハムレットしかおらずどこか慌てた様子だった

話を聞いてみればなにやらややこしいことになっている


「殿下 もしや英雄殿を守護騎士パートナーに?」


「未定なのじゃ」


まさか哲人は守護騎士パートナーがなにかを知らずに頷いたのだろうか?


「いや それは流石に・・・」


ないとは言い切れない

哲人は結構常識が欠けている


「はぁ」


溜息がでた

全く知らずに頷くとはいい度胸をしている

とりあえず街にでて哲人を追いかけようか

そして話を聞こう


・・・


黒鉄哲人はとある問題に直面していた

仮にも英雄と呼ばれる彼が解決できない問題など・・・多々あるとは思うが今回はヤバイ


「くそっ!くそっ! どうしてだよっ!

どうぉしてぇっ」


薄暗い裏路地にて膝をつき拳を地面に叩きつける まるでカ○ジを演じる 藤原○也のように己の無力さを呪っていた

どうしてっ!どうしてっ!


「どうして 俺はっ!一人で街にでたんだ!」


黒鉄哲人は異世界に来てからまだまだ日が浅いのだ 今日で4日目 されどどこか油断にていた 英雄などともてはやされて浮かれていた

そうこれはこの現状は


「・・・迷ったぁ 」


来て日が浅い街に来て適当に歩けばそうなるのは自明の理である

それに気づけなかったのだ

今 自分がいる裏路地も見覚えのない場所だ

なら 誰かに聞けばいい?

舐めるなよ たとえ英雄になろうともコミュニケーション能力のスキルが上がるわけではないのだ


「あれ お兄ちゃん? こんなところでなにをしてるの?てゆうかなんで膝付いてるの?」


目の前に天使がいた

可愛い尻尾と獣耳をつけた天使がいる

顔を横に傾けて 不思議そうにこちらをみている 俺は年上こんな状況だからそこ威厳をもって


「迷子にでもなった?」


「・・・その通りでございます 屋敷まで案内してください クズノハ様」


年上の威厳は何処へやら自分よりもかなり幼い少女に頭を下げる英雄


「いいよ いいよ 頭なんて下げなくても!

むしろこっちが下げなきゃ!まだお礼も言ってないし」


「・・・お礼?」


はて?俺はクズノハからなにか感謝されるこたでもしたのか 心当たりがないな


「うん! この街を救ってくれてありがとう

お兄ちゃん!」


「へ? ああ うん」


「・・・なんか 反応薄いね」


「ええっ て言われても俺はフィルを助けようとしただけだし」


「これは重症だね あと個人的に助けられたから それもありがとう」


「ごめん なんのこと?」


「やっぱり わからないかぁ」


なんのことだろうか?

クズノハを助けたことなどあっただろうか


「あれ? お嬢様は?」


「いや それがね」


俺はクズノハに事の顛末を話した

そして話し終えると


「お兄ちゃん 」


「はい」


「バカなの?」


バカなの?いただきましたっ!

懐かしいな○街


「・・・返す言葉もございません」


「仕方ないなぁ ちょっと付いて来て」


「どこへ? 」


「お兄ちゃんが今 一番行かなくちゃいけないところだよ」


そう言ってクズノハは俺の手をやや強引に引っ張って歩き出した

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