プロローグは細部を物語る。

神は細部に宿る。

と言われて久しいが
リアルでも
Webでも
やはり
細部に宿るものが物を言う。


>「 戻ってきた時に住むところがないのは困るので、アパートはそのままにしておいた。ただ、勤めていた会社は辞めることにした。元の世界に戻れる保証もなく、どれだけ滞在するのか目処が経たなかったから。いい年して無断欠勤したり、行方をくらましたりするやつだと思われるのは避けたかったというのもあった。 」


主人公の人となりが
作者自身のこだわりが
そっと浮かび上がるような描写に思える、上記プロローグの一節。


一見
一社会人として
自然な振る舞いといえるかもしれないが事はそう単純ではない。
なんせ異世界へ行くのだから。


この日常から非日常への入口において
主人公は今後の未来を想定するだけでなく
律儀にも会社への影響や迷惑まで考慮している。


これは普通か。否。
異世界へ行くとなれば良くも悪くも気分がざわつき
( 現世での日常の身辺整理までは頭が回らない )
( もう現世はどうでもいい )と判断し
主人公が望む形にしろ
巻き込まれるケースにしろ
『 はい、一気に異世界へジャンプ! 』となりがちではないだろうか。


そうなりがちな場面で
冷静に考えつつしっかりと辞職する主人公。
何気ない振る舞いのようでいて中々の生真面目さが漂う。


異世界においても
主人公の生真面目さは顔を覗かせるのか、頻繁に滲むのか?


それとも
異世界での様々な出来事に応じて冷静な側面も変化していくのか?


すべては 読んでからのお楽しみ。
異世界は 読んだ者だけのお楽しみ。

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