第13話 動物園のアイスクリン(後編②)


 動物園から家へと帰る途中、K太くんは眠そうでした。


 電車の中では、ウトウトしていて、頭がガクンとなっていました。


 駅から家へ歩いている今も、目がとろんとしています。


 頑張って、K太くん。


 本当に無理な時は、おんぶするけど。


 私、あんまり力ないから、そんな長距離をおんぶする自信はないです。


 いや、でもK太くん、もう限界っぽいですね。


 私は半分意識のないK太くんを、よっと背負いました。


 歩いていると、K太くんは、すぐに眠ってしまいました。


 小学三年生って、重い。


 これが命の重さなんですね。


 なんて、いらんことを考えてる場合じゃないです。


 これは家まで無理。体力的にも、筋力的にも無理。


「え、なにしてんの」


 急に後ろから声をかけられました。


 誰かと思えば、S村でした。


「動物園の帰りだけど」


 と私は答えました。


S村は私の背中を指さして、口をわなわなと震わせています。


「い、いくら小さい子が好きだからって、ゆ、誘拐は……」


 ……こいつは何を言ってくれちゃってるんでしょうねえ。


 両手がふさがってるので、私は仕方なくキックを繰り出しました。


 おい、よけるな。


 それから、S村には私に暴言を吐いた罰として、K太くんを交代でおぶってもらいました。


 いやあ、便利なやつが見つかって、よかった。よかった。

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