第4話 映画館のポップコーン(中編)


 気を取り直して、私たちは6番のシアターに入りました。


 


 まだシアターの中は暗くなっていませんでした。


 お腹は痛くなっていなかったのですが、一応トイレには行きました。


 もう映画が劇場公開になってから、時間がたっているので、そんなにお客さんも多くないと思っていたのですが。


 ですが。


 人めっちゃいます。


 お父さんと子どもたち。


 お母さんと子どもたち。


 めっちゃいます。


 え、そんなにこの映画人気なんだ。


 まあ、元のアニメが子どもに大人気なので、分からなくもないですが。


 でも、この映画ってリメイクなんですよね。


 昔とストーリーはそのままで、映像が3Dになっただけという。


 あんまり3Dにする必要性感じないんですよね。


 そりゃ映像は綺麗ですが、ちょっと動きがぎこちないっていうか。


 昔のアニメの映像のほうが、動きが生き生きしてたと思うんですが、どうなんですかね。


 旧版を私もリアルタイムでは見てないです。テレビの再放送で見ました。


 それで登場するのも旧世代のが多いし。


 主人公の仲間たちも、昔の仲間ですし。


 今の子たちが見ても楽しめるんでしょうか。


 私自身あまり期待はしていないです。


 でも、K太くんには楽しんで欲しいと思っているのですが。


 さて、私たちのまわりのお客さんは、ポップコーンを手に持っている人がたくさんいるのですが、私もK太くんもポップコーンは持っていません。


 ポップコーンは映画の後に食べる派です。


 映画は映画。


 ポップコーンはポップコーンで楽しみたいのです。


 集中力を100%そちらに傾けたいので。


 二兎追うものは一兎も得ず、です。


 そんなことを考えていると、シアターがだんだん暗くなっていきました。

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