咲かずにいて欲しい花もあるのです。

憧れていた先輩と再会した主人公が、いま何をしているのかと軽い気持ちで訊ねたところ「死ぬ準備」というとんでもない返事を頂いてしまったところからお話は始まります。
死期の近い先輩の頭の中には花に似た爆弾があり、いつかその花に埋め尽くされて死ぬという。
主人公は先輩に寄り添い、花満ちていく彼女の頭の中から紡ぎ出される数々の物語を世に出す手伝いをするように。
文字という名の花にまみれて二人で過ごす日々、その描写の至るところまでが究極に美しく、それでいて儚い。

最後にはじんわりとこちらの心にも寂しさを残して散っていく、そんなとても素晴らしいお話です。
どうかご一読をば。

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