混沌と濃い霧

その日、僕は暗闇の中にいた。その暗中はとても暖かくて、心地よくて、愛のような、でも、暗くて、怖くて、漠然とした先の見えない不安のような。それは憎悪にも似ていたし、愛にも酷似していた。でも、それら全てが僕にとってはシャッターをきる時よりもいっそうに一瞬の出来事で、瞬くのとさほど変わりはなかった。

僕は連日の多忙からてんでめちゃくちゃな──退廃的な生活を過ごしていた。食生活もまともとは言えなかったし、何よりまともに寝れていなかった。朝まで起きている事など割と普通に感じられるようになっていた。子供の落書きのような日々を暮らしていたのである。そのせいで口内環境は悪化しベロの下に変なプツが出来たり前歯の裏側で炎症が起きたりしていた。そして、今日に至っては一日のほとんどを寝て過ごしていた。それでも遅れた分僕は精一杯やったつもりだ。悔いはない…と言えば嘘になる。けれど、次こそは負けない。自分にも他人にも。

僕のバイト先にFさん(念の為名前は伏せておく)という大学3年生の女学生がいる。その人はどことなく、いや、これはまったく偏見なのだが狡猾とした雰囲気がある。賢しいような雰囲気があるのだ。実際のところはよく知りはしないのだが。その人が時々バイトの時間が被ると更衣室のあるいわば、スタンバイ室みたいなところでPCの前に座っているのだが、僕がギリギリの時間に更衣室から出て手を洗ったり、或いは手を洗い終わりパソコンの前でソワソワとしていると話しかけてくることがある。もちろん、高校2年の童貞男に大学3年生のましてや女性と話をするようなコミュ力など到底あるはずもなく会話はすぐに途切れてしまうのだが、それでも時々話しかけてくる。正直な事を言うと僕は内向的な性格故にバイト先で友達という友達がいないのである。元々、女性の割合が多い職場なので、致し方ないことだと自分でも諦めているのだが。

Fさんは今どきの黒スキニーに柄物をきているような女性なのでそんな方と僕と話が合うのかどうか疑問に思うところである。ここで勘違いして欲しくないのは確かにFさんは綺麗ではあるがタイプではないしましては僕には恋人があるので、別段恋愛感情などは抱いていないし向こうも抱いていない。それは断言出来る。その上で友達として、職場仲間としてどう付き合っていくのかが非常に悩ましいのである。せっかく、向こうから話を振ってくれているのにそれを無下にするのはいたたまれないのである。

いつもとは違うテイストになってしまってすまない。けれども今日一日を寝て過ごしていたのだ書くことがないのも承知してくれればありがたい。

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