不思議なお家⑴

(お姉さん、ここが僕の住んでいるところだよ)

さっきいたところから100mほど歩いたところで、男の子が言った。

(えっと・・・ここ?)

私は唖然とした。だって、そこにはマンホールのようなものしかなかったから。

(うん。そうだよ)

ケロリとした顔で、男の子は言った。

(お姉さん、早く入って)

男の子は私の手を引っ張る。私は、戸惑いながら

(入ってって、何もないじゃない)

と言った。そんな私を横目に、不思議そうな顔をした男の子はマンホールの蓋を開けた。

(えっ、そこに入るの?)

(え、当たり前でしょ。ていうか、地下以外に住むとこないでしょう)

男の子の言葉に戸惑いながらも、私は

(地上)

と言った。それしか考えられない。だって、つい数分前は地上に住んでいたのだから。

 男の子は、呆れた顔をして言った。

(そんなわけないじゃん。ここ、夜は熱くなっちゃうもん。お姉さん、バカなの)

"バカ"という言葉が胸に突き刺さる。悲しくなりながらも、私は考えた。

 夜になると、熱くなる・・・。どこかで聞いたことがあるような・・・あっ、月だ!いや、月だけじゃない。この星が太陽の惑星だとしたら、太陽の熱がここを熱しているのだ。

(お姉さん、入らないの?)

突っ立ている私を見て、男の子が言った。

(入る入る!)

私は急いで、その穴に入った。

 そこは、長いながい螺旋階段だった。

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