第21話

 三日目はタクシー移動をする。

「上賀茂神社と下鴨神社に行ってから……金閣寺で昼食を食べよう。特に京都らしいものを食べようってことは言ってないから、近くのマックとかに行くか」

 ジャンボタクシーに乗って、下鴨神社に行く。

 神聖な雰囲気に包まれた森の近くに、さざれ石があることをタクシーの運転手さんが教えてくれた。

 神社に参拝して、そこから歩いてさざれ石の場所に行ってみた。

櫻庭さくらば、さざれ石があったよ!」

 悠里は少し説明文を見て、話をする。

「国歌の『君が代』で出てくるさざれ石。小さな石がだんだんと積み重なり、大きなこの石になるって願いを込めたらしい」

「そうなんだ、すごい」

 その次に上賀茂神社に行って、龍安寺と金閣寺に行った。

 それで、マックで昼ごはんを食べてから、そのあとには京都駅のエキチカでおみやげを買いに行く。

 わたしは雪華ゆきかと母さんにポーチをお揃いで買うことにした。

 かなり予算を使ってしまったけど、でもいいポーチを買うことができた。

 他には八ツ橋を買っている人も多くいるけど、うちの家族って八ツ橋があまり好きじゃないみたいなの。

 だから、近くにあった鴨サブレというお菓子を買ってみた。

 喜んでくれたらいいな。

「あ、橘。それにしたの? ポーチ」

「うん! 母さんと雪華とお揃いで、かなり予算を使っちゃったけど」

「喜ぶよ?」

 そう言って、悠里はその場を離れた。

 副班長の久保田さんと話して、班員を集めにいったらしい。

「六班、集合~! 一人だけ、京都に置き去りにならないようにな!」

「あ、ひど~い。班長、そんなことにはならないからさ」

 そして、いろんな見学地を回って、夕方に新幹線で東京へと戻る。

 大きな荷物は再び宅配便で送るから、帰りもかなり楽にはなる。

 新幹線の座席は行きと同じだった。

 でも疲れていたから、窓側のみゃーちゃんと交換して、寝ることにした。


「――小夜!? 起きて。東京駅に着いたよ?」

 みゃーちゃんに叩き起こされ、わたしはダッシュでホームに降りた。

 その間、みゃーちゃんが落としたらしい生徒手帳が宇治で見つかったと、警察からの連絡があったらしく、大騒ぎをしていた。


 東京駅から再び山手線と私鉄を乗り継いで、帰るんだけど……ちょうどこの時間帯は当たり前のように帰宅ラッシュ。

 ドアの近くでポツンと立っていると、悠里が目の前にいたのに気がついた。

小夜さよ。大丈夫? めっちゃ混んでるな、あと一駅だよ」

「わかってるよ。もうすぐテストだし……心配だな、全然勉強できてなかったから」

 今日は家に帰ったら、すぐにシャワーを浴びて寝てしまった。




 その一週間後、二学期の中間テストが始まった。

「できなかった……!」

 テスト勉強をなかなか難しくて、ワークはほぼ間違えていた場所がほとんどだった。

「ヤバい……テスト、できないかも」

 いとこの永莉えりちゃんが教えてくれたけど、だんだんと難しくなる問題に精神的にもきつくなってくる。







 今回のテストはなかなか点が取れなさそう……その予感は当たってしまった。

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