5月

第4話

 中間テストの一週間前になった。部活の活動はなくなった。

 それと同時に雪華は塾の自習室で勉強を始めていた。

「雪華、夜の弁当箱。帰ってきたら、自分で洗ってね、あと足りなかったら冷蔵庫に入れとくから」

「うん。ありがとう!」

 そのまま駅前にある進学塾に行く。

 たぶん、夜遅くに帰ってくるはずだ。

 わたしは少しだけテスト勉強を始めることにした。

 数学を後まわしにしてしまうことが多い。いまの成績だとほんとに大変なのは、自分が一番わかってるのに。







「中間テストの返却をするぞ~! 今回は平均点が六十二、自分でテスト直しをして提出すること」

「マジか、高い!」

 数学が六十二点……、結構簡単な気がしたけど。

「橘。今回はよく勉強してるな、がんばった」

「はい!」

 点数は五十点、平均点はいかなかったけど、少しだけびっくりしていた。

「みゃーちゃん! 見て、この点数」

「五十点? すごい! がんばったね」

 雅はびっくりしていた。

「みゃーちゃん、どうだった? めちゃくちゃ点数が高い!」

 雅はとても勉強が得意な感じじゃないけど、理数系に関しては意外と点数が高いんだよね。

「みゃーちゃん。今回も八十点台?」

「そうだね、一夜漬けなんだけど……」

 C組の朋と華乃はクラス平均の五十三点とか言ってた。

 あと、悠里ゆうりのテストはすでに返されてるけど、みんながびっくりしている。

「悠里! お前、九十六? 同じ授業、受けてんだよね?」

「櫻庭。すご、あんなに点数とれる?」

 ざわざわするのも無理はない。

 悠里には簡単なんだな、この問題とか。

 なんとなく、惨めになりそう。

 テスト直しをして、そのまま提出するみたいだ。

「小夜。このあと、いいかな? 部活?」

「ないけど、夜ご飯の準備とかするから、もう帰らなきゃいけないけど……家に来る?」

 朋と華乃、雅の三人が家に来た。幸い雪華も部活で遅くに帰ってくるから、夜ご飯の準備をしながら話すことにした。

「小夜はお母さん、帰ってくるの、遅いの?」

「うん。うちと雪華のためにくたくたになって、帰ってくるから、できないところは手伝ってるんだ」

 わたしは夜ご飯の支度を終えて、話を始めた。

「麦茶……飲む?」

「飲む!」

 麦茶を注いで、みんなに渡した。

 話はだんだんと恋バナになっていた。

「みゃーちゃんはだれが好きなの?」

「いない、でも小夜はいるんでしょ?」

 一気に話を振られて、みんなが質問攻めにしてきたのが大変だった。

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