第24話 リンゼイ老師のリベンジでござる 

虎之助とらのすけ達は、岩法師いわほうしにステーキをおごってもらって宿舎に帰る途中とちゅうであった。

「ステーキ美味うまかったな。今度は、桜田刑事をさそって行こう」

 狂四郎も上機嫌じょうきげんである。

「エエなぁ、彼女がやつは」

 小太郎は、少しうらやましそうである。

「お前も彼女を作れば良いじゃないか。たとえばこんなのとか」

 狂四郎は虎之助とらのすけを指さした。

「姉さんは、俺の師匠ししようみたいなもんだからなぁ」

 一応いちおう、小太郎は毎日のように虎之助とらのすけから剣と忍術の稽古けいこをつけてもらっている。

「小太郎は拙者せっしゃきたえているので、かなり強くなったでござる」

「もともと、俺は天才剣士やしな。

 その時、岩法師はすような殺気を感じた。

 ーー何だ、この殺気さっきはーー

んな、気を付けろ!敵がすぐ近くにるぞ!」

 と、岩法師がさけぶ。



「おい、殺気さっきを出すなって言ったろ」

「しょうがねえじゃないか、出るもんは出るんだよ」

 ライアンとアンドロポプの会話が聞こえる。


「あいつらは『国際電器協会』でござる」

 虎之助とらのすけも敵に気付きづいた。

大勢おおぜいいるな」

 リンゼイ老師ろうし一派いっぱくわえ、ライアンとマーゴットにアンドロポプと『国際電器保安協会』のメンバーが勢揃せいぞろいしている。

 どうやら、虎之助とらのすけ達はせされていたらしい。

 岩法師と狂四郎は、警戒けいかいして武器をかまえた。


「姉ちゃん、手握てぇにぎってもエエ?」

 いつの間にかマーゴットのそばに来ていた小太郎が、手をにぎろうとしている。

駄目だめに決まってるでしょ!アンタ敵なんだから、あっちに行きなさいよ!」

いやや、俺は姉ちゃんみたいな彼女がしいんや!」

 小太郎がダダをこね出した。

「おぬしら、お似合にあいでござるよ」

 何故なぜか、虎之助とらのすけもこちらに来ている。

 虎之助とらのすけ気付きづいたアンドロポプが近づいて来て

「小娘、この前のりを返すぜ!」

 と、いきなり、虎之助とらのすけなぐりかかろうとする。

「唐沢家忍術『秘技ひぎ三枚おろし』」

ズバ、ズバッ!

 虎之助とらのすけ気付きづかれて、アンドロポプは綺麗きれいに三枚におろされ、パタパタッ!と3つに別れて倒れた。

「アンドロポプめ、この娘はヤバいって注意してやったのに、馬鹿ばかやつだな」

 ライアンはあきれながらも

「マーゴット、死にたく無ければ、その娘の相手あいてはするな。俺らの相手はこうのぼうさんとさむらいだ」

 と、マーゴットと2人で岩法師と狂四郎に向かって行く。

「岩法師さん、2人こっちに来ますよ」

 狂四郎は刀をかまえながら言った。

「ぬかるなよ狂四郎!」

 薙刀なぎなたかまえた岩法師も、やる満々まんまんである。


 リンゼイ老師は虎之助とらのすけにらんでいる。

ーー他の者は、どうでも良いが、あの小娘だけは絶対ぜったいに殺すーー

「アーナブ、マニッシュ。あの小娘をるのじゃ!」

 リンゼイ老師のけ声とともにアーナブとマニッシュが、虎之助とらのすけに向う。

 各自かくじが相手を見つけて戦い始めると、小太郎とリンゼイ老師が残るかたちとなった。

「あの二人は姉さんにまかせて、俺はあのジジイをろう」

 意外いがいにも小太郎は余裕よゆうの表情でリンゼイ老師に向かって行く。

「ジジイ、覚悟かくごしろ!」

ーー姉さんから教わった必殺技『地獄斬じごくぎり』をためしたるーー

地獄斬じごくぎり』とは、頭部とうぶ腹部ふくぶ股間こかんを、1秒間に4回づつって地獄じごくに落とすというおそろしいわざである。

だが、向かって来る小太郎に対してリンゼイ老師は平然へいぜんとしている。

「死ねや、ジジイ!」

 小太郎の『地獄斬じごくぎり』がリンゼイ老師に炸裂さくれつする。

 が、手応てごたえが無い。

「うっとおしいぞ雑魚ざこ小僧こぞう

ドスッ!

 いつの間にか、小太郎の背後にまわんでいたリンゼイ老師は掌底しょうていをはなった。

「るへ〜」

 小太郎は、ばされて、道路沿どうろぞいの喫茶店きっさてんんだ。

「おぬしような雑魚ざこが、ワシにいどむのは30万年ほど早いわ」

 小太郎を軽くたおし、何事なにごとも無かった様に、リンゼイ老師は虎之助とらのすけに向かって、ゆっくりと歩いて行く。

 アーナブとマニッシュにリンゼイ老師がくわわり、虎之助とらのすけが3人を相手にする事になってしまった。

「アーナブ、マニッシュ。この娘は確実に殺すのじゃ!」

承知しょうちしました」

 そう返事すると、アーナブは何やら呪文じゅもんとなえだした。すると、地中から1つ目の大男があられた。

「インドの人食い怪物かいぶつラークシャサだ。あの小娘をらえ」

 アーナブに命令されたラークシャサが虎之助とらのすけに向かって来る。

「そっちがインドの怪物かいぶつなら、こっちは日本の妖怪ようかいを出すでござる」

 まさに、インドの怪物かいぶつと日本の妖怪ようかいの、歴史的な対決が行われようとしていた。

 リンゼイ老師は、ラークシャサを見て勝利を確信している。

ーーラークシャサは日本では羅刹らせつと呼ばれる最強の人食い怪物かいぶつじゃ。日本の妖怪ようかいなど相手にならんじゃろうーー

 虎之助とらのすけ呪文じゅもんとなえた。すると、強い光とともに金髪の美女があられた。

「プレアデス星人、あの怪物かいぶつを殺すでござる」

 日本の妖怪ようかいが出て来ると思い込んでいたら、まさかの金髪美女であるプレアデス星人の出現にアーナブ達は、たじろいだ。

「ちょ、ちょっと待て!これの、どこが日本の妖怪ようかいだ?プレアデス星人って、名前からして宇宙人じゃないか!」

 アーナブは抗議こうぎするが、プレアデス星人は容赦ようしゃ無くラークシャサに向けて殺人ビームをはなった。

「クフッ」

 ビームが直撃ちょくげきしたラークシャサは、跡形あとかたもなく消滅しょうめつした。

「まさか、あのラークシャサが一瞬いっしゅんで!」

 さすがのリンゼイ老師もおどろきをかくせない。

「次は、あの3人を殺すでござる」

 アーナブ達を指さして、虎之助とらのすけがプレアデス星人に指示しじあたえる。

「宇宙人を出すなんて非常識ひじょうしきじゃぞ!」

 リンゼイ老師も抗議こうぎするが、プレアデス星人は非情ひじょうにも、3人に向けて殺人ビームをはなつ。

「おのれ、リンゼイバリア」 

 リンゼイ老師がバリアをった。が、殺人ビームの勢いを止める事は出来ず、3人共まともにビームをらってしまった。

「クフッ」

 アーナブとマニッシュは消滅しょうめつし、リンゼイ老師も重症じゅうしょうってしまった。

「プレアデス星人、とどめをすでござる」

 何故なぜか、指示しじはんしてプレアデス星人は虎之助とらのすけの方に歩いて来る。

「地球の人よ。私はもうプレアデス星に帰らねばなりません」

 と、別れをげた。

「そうなのでござるか?」

「そうなのです」

「では、おれいにコレをあげるでござる」

 虎之助とらのすけ一握ひとにぎりの落花生らっかせいからをプレアデス星人に渡すと 

「ピッピッピッピッ、ピーナッツ」

 と、歌いながらプレアデス星人は飛んで行った。


「あの、興味きょうみ本意ほんいで聞くんじゃが。プレアデス星では落花生らっかせいから貴重きちょうなのか?」

 ボロボロにりながらも、リンゼイ老師は落花生らっかせいからの事が気になってしまった。

「ただの、ゴミでござる」

 平然へいぜん虎之助とらのすけは答えた。

「何と非情ひじょうな。いったいテメエの血は何色じゃ!」

 リンゼイ老師はさけびながら、ブラフマーへと変化した。

「このド外道げどうが。絶対にゆるせぬ!」

 ブラフマーは激怒げきどしている。

 しかし、虎之助とらのすけは、チアガール戦士ピチョリンに変身して

ゆるせぬなら、どうするんでござるか?」

 と、言いながらアメリカンフットボールのチアリーダーみのチアダンスをおどっている。

「死ね、この悪魔!」

 リンゼイ老師は両手から、チアガール戦士ピチョリンに向けて膨大ぼうだい神気しんきはなった。

「ピチョー」

 チアガール戦士ピチョリンは、道路沿どうろぞいの喫茶店きっさてんまでっ飛ばさた。

「姉さん、大丈夫でっか?」

 喫茶店きっさてんの店内では、小太郎がクロワッサンを食べながらコーヒーを飲んで、くつろいでいた。

「俺はちがいが分かる男やから、このコーヒーの美味うまさが良くわかりますわ。姉さんも、どうでっか?」

 チアガール戦士ピチョリンは、立ち上がると小太郎からクロワッサンを1つ取り、ポケットから取り出した小瓶こびんから液体をクロワッサンにかけて

「この毒入どくいりクロワッサンを食わせて、あのジジイをブッ殺すでござる」

 と、不敵ふてきみをかべるのであった。

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