ファンファンファン、ファンファンファファン♪ -なろう系とfantasy-


ヤ「あっああっああああ! かっ、かかか、かわいいキャラが書きたいのぉおおおお、面白い話が書きたいのぉおおお!!!!」


ファ「どうしたんだいヤマくん?」


ヤ「ああっ、ファジえもん聞いてよ! ぼきゅの作品が読者に『ぱっとしない、どっかで見たことある(笑)』ってバカにされるんだ! 主人公を強くカッコよく書いたつもりでも『俺TUEEE乙(笑)』とか言われるんだよぉ!!! ぬわぁあああん!!!!!!」


ファ「ファジえもんとはずいぶんと強引なネーミングだね、まあいいけど。ゴホン、簡単なことだよヤマくん、きみには『ファンタジー』が足りないのさ」


ヤ「ファンタジーって何なんだよぉ・・・・・・」


ファ「簡単には言えないなぁ、『定義的なもの』と『感覚的なもの』の2つがあるからな。じゃあ今日は定義的なものから教えよう。まずは『ファンタジー』の意味を辞書で調べてごらん・・・・・・さて、なんと出た?」


ヤ「えーと・・・・・・空想、幻想・・・・・空想は、現実にはあり得ない事、現実とは何ら関係のない事を、頭の中だけであれこれと思いめぐらすこと・・・・・・」


ファ「よし、連続で言葉を検索できるようになったな、上出来だ。―――じゃあ話は簡単だ。『幸せ』を実感するには何を経験すればいい? 甘さを引き立てるには料理に何を入れればいい?」


ヤ「幸せには不幸、甘さには塩分。空想には・・・・・・あっ、現実か!」


ファ「その通り。現実リアリティー・・・・・・つまり、設定に常識・一般論といった『ルール』を入れれば良い。そしてこれのどれかが著しくかけている異世界物を、読者は『なろう系』と呼ぶ。ヤマくんがバカにされたのもこれが原因だろう。いわゆる『なろう系』は一定の人間から必ず受け入れられないように出来ているからな。ちなみに分かりやすい例をいくつか下にあげておこう」


例:

・主人公が努力ナシで強大な力を手に入れる。またその力を苦もなく使いこなす。

・展開の都合が良過ぎる。(転生した時点で王族・皇族だった、最初から姫様助けてフラグ立てる等)

・主人公の行動は善悪問わず、全てが賞賛される。

・ヒロインとのラブコメ・キャラの心情描写がおかしい。(異常に早く好感度が上がる、フラグが立つ)

・世界設定・戦闘描写が雑。(異世界転生・中世風ファンタジーや魔王と勇者の構図・ファイヤボールといった魔法などの『誰にでも馴染みがあり、よく知られている』ことが前提のテンプレ設定や呼称)


ファ「これらはすべて空想ファンタジーではあるが、同時に非現実ノットファンタジーだ。あまりに過剰なご都合主義はかえって空想ファンタジーを醒まし、現実リアリティーを際立たせてしまう。『はいはいイイお話でございますね、俺は明日も仕事(学校)だってのに、何でこんな頭ん中お花畑な作者に金入ってウハウハ言ってんだ畜生・・・・・・』って感じだね。ラノベ初心者なんかにはもってこいだけど、既に一度でも同じような作品に目を通してしまえばもうお腹いっぱいさ」


ヤ「・・・・・・じゃあどうすればいいの? ぼくどうしても主人公に努力させるの苦手なんだけど・・・・・・」


ファ「It's so easy. それじゃあ、さっき挙げた例に対する答え合わせをしてみよう」


・主人公が努力ナシで強大な力を手に入れる。またその力を使いこなす

→努力はさせなくても、『工夫』は必ずさせるべき。またあまり驕らせないこと。(驕れる者久しからず)


例:「俺にはAができる! Aは強い! 俺最強!」ではなく、

「俺は身に着けたAとBの能力を研究して、Cに発展させた! あとはD系の力さえ手に入れば、もっと色々できるな・・・・・・」等。

(例:転スラ・このすばなど)


・展開の都合が良過ぎる。転生王族や成り上がりなど

→恋人や親が陰謀で殺される、成り上がりの末に片足一本失うなど大きなマイナスを与える(例:ワンピース/ドレスローザ編のキュロス)。兎に角「分かりやすく、それでいて取り返しのつかない大切なもの」を失わせることが大事。


→その『良い都合』に見合うだけの奇抜、納得の展開を持ってくる。

(例:転スラ。リムルは洞窟で薬草とスキル、ヴェルドラを吸収したことにより

名付けができ、国づくりを始めることができた。その際のテンポの良さから、いたストやシムシティをプレイしているような感覚を読者に与えることに成功した)


・ヒロインとのラブコメ・キャラの心情描写がおかしい。

→ファンタジーレベルを上げる(次回)


・世界設定・戦闘描写が雑。

→奇抜な発想で物の見方を変え別物にする、もしくはギャグに振る。

(例:このすば。サンマは畑に生えません)


→圧倒的な情報量、緻密な設定や奇抜な表現を作品に練りこむ。

(例:禁書目録、幼女戦記、劣等生)


ファ「・・・・・・とまあこのようになるわけだが、この例は俺TUEEEがやりたくて『なろう系』を回避する場合で、それ以外の『ルール』を決めるのはもちろんきみ自身さ。さっき言った『自分は俺TUEEEが書きたい』なんてのも、もちろんきみの『ルール』だ」


ヤ「なるほど・・・・・・参考になったよ!」


ファ「さて、今日は少し長くなったな、今日はここまでにしておこう。次はいよいよ真骨頂、ファンタジー(フィーリング)だ。お楽しみにー!」

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