読後の満足感が半端ない。世界一カッコいいお母さんの活躍を見届けて。

素晴らしい物語でした。その一言に尽きます。
主人公であるカンザキ・シュカはスクラップクリーチャーを狩る凄腕のハンター。しかし、スーツを脱げば5歳の男の子を育てるシングルマザーでもあります。
子供を保育園に送っていくまでのバタバタ、帰ってくたくたになってからのご飯、大事な時に仕事が入ってしまって息子に寂しい思いをさせてしまう親子のすれ違い…子育てをしながら働くお母さんであれば100回くらい頷いてしまうであろう「あるある」を交えながら、物語は水面下にはびこる陰謀の気配と共に進んでいきます。

物語の構成、戦闘描写、心情描写、どれをとっても素晴らしく、ファンが多いのも頷ける完成度。
飄々とした性格のイケオジ、アンジとの息のあった連携を見せる戦闘シーンには胸が熱くなり、物語が進んでいくに連れて明らかになっていく「陰謀」には手に汗握る程です。
特に心情描写は言葉の選び方が秀逸で、シュカが息子のイチ君に対して申し訳なく思う気持ちや、亡き夫レイさんに対する切ない心情には涙が出そうになりました。

物語の構成もよく練られています。序盤と最終部の対比が素晴らしく、序盤から出ていた彼女の「言葉」の意味が最終部分で別の意味を持った時は鳥肌が立ちました。
読み終わった後は、まるでハリウッド映画を一本見たような満足感。ぜひこの物語は、最終話まで読みきっていただくことをおすすめします。

「──さよならの時間だよ」の言葉と共にクリーチャーを狩る、世界で一番強くてカッコいいシングルマザー。
戦う女性や、男女のバディもの、派手でカッコいいアクションがお好きな方にぜひおすすめしたい一作です。

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