夏の記憶


紺碧の空、地平線から湧き上がる白い雲。


ジワジワと、嫌になる程繰り返される騒音。


極当たり前の夏だ。


私が歳をとるにつれ、平均気温は上昇し、今や40℃なんて当たり前になっている。


窓から空を見上げれば、いく筋もの細長い白線が、紺碧のパレットを飾りたてる。


ああ、いつからだろうか。


空にミサイル雲が浮かぶのが日常になったのは。


近くの駐屯場からは迎撃ミサイルが煙を吐き、節電モードの携帯からは聞き慣れた酒気帯びのサイレンが響く。


其れは蝉の声に呑まれ、私は黒い鉄の塊と、破滅の匂いと、闇の閃光を一身に受け、陰になった。


夏の暑さに、取り残された日。

私が夏に溶け、陽に焼かれた日。



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