4月

2020年4月05日 「勇者の証」


村に辿り着いた勇者一行だったが、偽物が頻出しているらしく本物だと信じて貰えない。伝説の剣を見せてもダメ。結局諦めて村を立つことにし、せめてアイテムを貰おうと壺を割った時、村人が言った。「おお、勇者様」




2020年4月12日 「善意の衝突」


「「あっ」」互いに避けようとしてぶつかりそうになった。反射的に同時に横移動。二度三度と繰り返す。「僕右で」「私、左」口頭で確認を取る。両者照れ笑いを浮かべ、やっと終わると一歩を踏み出した。「「あっ」」




2020年4月21日 「切れないもの」


鏡の中、目を赤く腫らした私が情けなく笑っていた。失恋して髪を切るなんて我ながら古いと思う。ハサミが動く度に、あなたが好きだと言った長い髪が落ちていく。ジャキリ、ジャキリ。あなたへの想いは断ち切れない。




2020年4月27日 「春の訪れ」


「季節の変わり目ってわかりづらいけど、あなたのおかげで春になった瞬間はわかるの」僕は目を擦り、鼻をずびずびさせて、くしゃみをひとつふたつみっつ。「ほら、いま春になった」彼女はそう言って嬉しげに笑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る