SSSな初めてのお客様はFカップ?

「お話が早くて助かります」


「ちなみに魔術研究って今流行ってますけど、危険はないのですか?」


「はい。ご存じ通り、安全面を研究する組織ですから」


「ふむふむ」


 遅かれ早かれある程度住んでくれそうな人間が必要だったし、発展すれば宿を利用する人も増えるだろう。研究所との往来により、地域も活性化するかもしれない。


「私たちも住人が必要だったんです。宜しければこちらからもお願いします。詳しい話はまた後で」


「本当ですか、ありがとうございます!」


 今まで意志のような表情が崩れ、ぱっと嬉しそうにお姉さんは笑う。笑った顔は無邪気なもので、もしかしたら領主と対面するから、無理して固い顔を作っていたのかもしれない。


「それでどの程度の人数を予定されていますか?」


「まずは三十人ほどを考えています」


 三十人、恐ろしい数の人間が来るのかと思いきや、リアルに多い人数である。水源の問題はカバーできそうだが、研究者たちが使う家はすぐに用意できない。


 流石に四部屋しかないので宿も全員は難しい。


「生憎ですが宿が今四部屋しかなく、大多数は初めのうちは野宿になるかもしれません。それに少しばかり開拓を手伝ってもらう必要があります」


「ええ、勿論です。野外キャンプや街の開拓も勉学の一つですから。彼女たちは大丈夫です」


「——勉学?」


「申し伝え忘れましたか。私としたことがうっかりしていました。私は魔術研究組織の女子小中学生を担当しております、ミリャと申します」


 眼鏡越し満面のスマイルを俺たちに向けてくれるミリャ。


 どおりで真面目な衣装だと思ったら学校の先生だったのか——というか、この村、平均年齢がめちゃくちゃ低いけど大丈夫なのかな?!


「洋服は制服が沢山用意されてますし、民家を作るのも学びの一つです。初めは騒がしいかと思いますが、どの子たちも淑女としての嗜みは心得ております。宜しくお願いしますね、領主さま!」


 女三人寄ればかしましいと昔からわ入れてるけど、突然女子校みたいな村が完成しそうだけど、大丈夫だろうか。


 いや、大丈夫にするのが俺の使命だった。


 しかしと思う、何故俺はこんな時、男の体じゃなかったのかと——!


 ——それはそれで辛い立ち位置だとは思うと分かったちゃいるが、無駄な妄想をしてしまう俺なのであった。

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