SSSのじゃ吸血幼女と第二のサイコパス


「だから、我慢ならないから、私パーティーを抜けるって勇気を出していったんです。そしたら、じゃ最後に一回だけ胸もませて、お願い、頼む、俺のパーティーには男しかいないから、っていうから——」


 腰に手を当てて剣を握る。


「これで顔を焼いたんです」


「二人目のサイコパス爆誕してたんですね……」


 ジャックの顔の火傷をカッコいいと思った俺が馬鹿みたいじゃねえか。


 エリィは突然振り切る針が大きくてマジで怖え。


「だから彼の顔を見ると、まだ私の胸の中に焔が——!」


「え?」


 俺が呆気に取られている隙に、エリィは素早く腰に手を回して道具ポーチから次々とジャック目がけて火薬をばらまく。


「我、第一から第二の術式を開放!」


 口元に山賊のようにスカーフを巻いて、腰から券を一本抜く。


「お姉ちゃんどいて、そいつ殺せない!」


 ぼーっと立っていた相沢さんにエリィは叫び、勢いに負けて相沢さんは飛びのく。


「これが私の全力全壊魔術——世に一人と唄われる魔法剣士の魔術を受けなさい!」


 火打石をかちっとならして、剣に焔を灯し——、


「グランドインフェルノ=フィナーレ!」


 大声と共に、腰に刺さっている七本の剣を次から次に火をつけ、忍者も真っ青なスピードで投擲する。


 焔の剣は投げられたことで矢となり、蔓延した火薬に発火していく。


 発火した火薬は当たり前のようにその場で、強力な爆発力を生む。


「ひ、ひけええひけええ!」


 姿は見えぬが声はあり。


 煙に身を隠しながらジャックとその仲間の引く声がする。


「はあはあはあ……」


 やり切ったのか肩で息をしながら、エリィはその場にへたり込む。


「勝った、勝ったよ、お姉ちゃん——」


 良い感じに言ってもまだ吸血鬼いるからね? ほら砂ぼこりの中でなんか悲しそうに髪の毛の誇りを落としている幼女いるでしょ?


「許さん、許さんぞ貴様ら——どれほど我を弄べば気が済むのじゃ!」


 キッと睨みながら牙を俺たちに見せる。


「もうよい、住みよい静かな場所じゃったが、最近は邪魔者も増えた——この一帯事、また我好みに荒れ地にしてくれようぞ!」


 両手を広げて背中に巨大な魔方陣を生み出す。


「今更、泣いても許してやらんのじゃ!」


 ゴスロリ金髪のテンプレート吸血鬼は大声で術式を唱え始める。

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