???? ?.????

ICレコーダー

「――このように、社会は性や暴力など青少年に有害で過激な情報に溢れているのです。最近はよりリアルになったフィクションなどで、作りものと現実の区別がつかない人も増えていると思われます。一刻も早く規制をせねばなりません」


「ですからシェリダン議員。そういったことは大昔から言われていますが、確実な科学的根拠はないんですよ。小説や映画が害とされたこともありましたが、今や立派な文化ですし――」


「だから人間は未だ暴力的なんでしょう? それらを含め、望ましくない情報を一掃すべき段階に来ているのではないでしょうか」


「誰の主観でですか。映画も小説もないときから暴力はありましたし……、あ、どうぞマックス博士」


「失礼、マックスです。ではシェリダン議員、夢はどうですか?」


「……夢?」


「はい。人は夢を見ているとき、現実にはありえないことが起きていてもたいていそこを現実と思っています。つまり、夢と現実の区別がついていないのです」


「それは……」


「そして夢は、子供にも望まない人にも、性的、暴力的な情報を提供します。議員が仰る危険性とやらの条件は備えていますし、現在あるどんなメディアも夢に勝るフィクションを作れたことはない。

 こうした夢の影響を我々は人類史を通して受けてきたのです。それに比べれば現在ある情報の影響などたかが知れているし、あなたの主張は、夢を見続けてきた人類史そのものを否定しかねないものではないでしょうか?」


「……だったら。夢も、規制すればいい」


「ご冗談を」

「それはないでしょう」

「はははっ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る