テルマ対グリシュナッハ、ウグルク対アーシェラ

「さっきからキーキーキーキー喚き散らして、やったことっつったら蹴って殴ってあとは自慢かよ、イカれてんのか戦ってる最中に!」

 自分でも信じられないほどの速度で、テルマの口からは言葉がするする躍り出た。グリシュナッハは絶句した。

「私相手にグズグズしてて他の連中に逃げられたらそんときどうすんだよメッチャ叱られるだろちょっと下で二対一で一生懸命戦ってんのに仲間が! 見ろよほら頑張ってるから仲間が! アーシェラやっつけようと必死で飛んでるから! 普通に考えろバカ! あああ! だからバカと話すのは嫌なんだ話が通じないから!」

 グリシュナッハは数秒、固まっていた。空が裏返るとか海が沸き立つとか、そんな感じの黙示録的なにかが起きているときの顔で、完全無欠に機能停止していた。

 だが、わずかな流れが古い水車をゆっくり動かすように、グリシュナッハの顔にじわじわと表情が浮かび上がってきた。それはテルマの予想通り、侮蔑だった。

「うわ怖、なにこいつ。女ってすぐキレるよな」

「言うと思ったわバカ! キレるに決まってんだろこんな悪意を投げつけられたら誰でも! 数秒かけてその定型句しか出てこない知性を恥じらえよ待って損したわ! えらい学者に迷惑かける前に賢くなる努力をしろイキリ学生!」

 グリシュナッハは再び停止した。だがこれは先ほどの機能不全とは違い、やや前向きな停止だった。彼の知性は、どうすれば口うるさいオーク女の尊厳をできるだけむごたらしくずたぼろに引き裂けるか、その一点に集中していた。テルマは衝撃に備えた。

「あァ……思い出した。印象薄すぎて時間かかったよ」

 テルマは答えず、強く歯を食いしばった。少なくともこの男は、他者を――とりわけ女を傷つけることになんの躊躇もないし、またその技術も洗練されている。そこは認めなければならない。多少の傷は、覚悟の上だ。

「オマエさァ、合コンで見たことあるわ」

 これはあまりにも予想外の一言で、テルマは虚をつかれた。

「そうだよ、一年前の夏だ! やばいぐらいどもっててさァ! 『あっむ、むもっ、文字、文字の無い時代の魔法を、研究してます』って、自己紹介で専攻の話かよウケんだけど!」

 身体は無抵抗に開き、堰き止めていた毒があっという間に流れ込んだ。

「『マッ、アッ、だ、大学生です』って空気めっちゃ冷えたからなァあの時! 忘れられないよねェああいうのって!」

 みじめな記憶がよみがえるのと同時に、恥辱がテルマの心を一気に焼いた。テルマは小さくうめいた。眠れない夜に何度も反すうした記憶は、いつも通りの精度と彩度で容赦なくテルマを傷つけた。

 効果ありと見て取ったグリシュナッハは、大胆に距離を詰めた。テルマから数十センチのところに浮かんで、青ざめた顔を横から見た。

「まァ誰からも相手されないよねェ。隅っこでお酒飲んでたかと思ったらいつの間にかいなくなってるし。なに? 勇気出してはじめて合コン来たの? 数合わせでも少しは考えてほしかったなァ」

 グリシュナッハは畳みかけるようにテルマを侮辱した。テルマは歯を食いしばった。いま、一言でも反論すれば、とどめを刺される。耐えるしかない。心がうずく。叫び出したい。

 無文字魔法という専門用語を持ち出せば、そんなものは知らないと嘲笑われるから。大学の名前を出さなかったのは、揺るぎなき最高学府であるマナニア大学在籍だと知られると、確実に男たちがヒくから。テルマはテルマなりのやり方で自分を護ろうとしてきたし、それはだいたい失敗してきた。だから、死のうとしたのだ。ひとりみじめにいなくなることは、遅いか早いかの違いでしかなかったのだ。

 全身の力が抜ける。頭がやけに重くて、うつむく。膝をついてしまいたい。ちょっと暴れてみても、最後にはそこに戻ってくるのだ。積み上げてきたものをなにひとつ誇れず、どう生きたってばかにされる場所に。

「うわうわうわ、えなに泣くの? やめてくれる? なんかボクが悪いみたいになるからさァそういうの」

 グリシュナッハはテルマから数十センチの軌道を周回する。自分が与えた屈辱の度合いを確かめるように。

「ごめーん! アーシェラごめーん! もうむりだし!」

 そのとき、ルイーズの声が響く。

「いいよ、ルイーズ! 行ってらっしゃい!」

 アーシェラが、応じる。

 盾を透かして、眼下の様子が見える。地面を蹴ったルイーズが、ガントレットを岩壁に突き立てる。壁を蹴って、跳ぶ。テルマに向かって。

「させねえ!」

 ウグルクがルイーズを追い、上昇する。

「同じこと思った!」

 アーシェラがウグルクの足に飛びつき、その体を無理やり這いのぼる。

「なっ、こいつ、やめっ……!」

 絡み合ったアーシェラとウグルクが、紐の両端に重りを付けた狩猟器具みたいに、あぶなっかしく回転しながら落下する。

「うわわわわわこわこわこわこわぁ!」

 そしてルイーズが、テルマの隣に着地する。

 体重を受け止めた魔法盾が、弾む。

「やば! はっ、やばぁ! 死ぬと思ったし!」

 ルイーズは、震えつづける自分の太腿を拳で何度か殴った。

 ぽかんとするテルマに向き合った。

「あのさテルマ、あの、あの……あの! んんん! きちぃ!」

 ルイーズは、感情を正しく言葉にできない苛だちで地団太を踏んだ。それから、吹っ切れたような顔でテルマを強く抱きしめた。

「大丈夫だから! テルマのせいじゃねーから!」

 テルマはちょっと慄然とした。あまりにも内容のない言葉だったからだ。

「……あほなんスか」

 そう言ってテルマは、ルイーズの腰に手を回して引き寄せた。胸の間の、親密であたたかい暗闇に顔を寄せた。

 ルイーズは「大丈夫だから」を繰り返した。なにが大丈夫なのかはさっぱり分からなかったが、テルマは大丈夫になった。

 長く長く、息を吐く。毒の全部を吐き出すように。

 長く長く、息を吸う。憐れみの全部を受け止めるように。

「うわだっさ」

 グリシュナッハの嘲弄。心は、痛む。むきだしの悪意に耐えられる人間なんていない。それでもテルマは、もう大丈夫になっていた。

「失礼したっスね」

 ルイーズの身体をそっと押しやって、テルマはグリシュナッハに向かい合った。

「ええと、思い出すのに時間がかかったんスけど……あなたは確か、ハルギス&ベガ大学っスよね」

 グリシュナッハはテルマの変化を不審に思い、頷くに留めた。ハルギス&ベガ大学は、マナニアでも二~三位の高偏差値を誇る大学だ。自己紹介で、グリシュナッハは名前よりはやく大学名を口にした。そのため、テルマはマナニア大学の名を出すわけにはいかなくなった。

 今にして思えば、あのとき自分は、こう言うべきだったのだ。

「私はマナニア大学っス」

「え」

 グリシュナッハはみたび固まった。この停止は最初のものと同じ性質で、もっと根深いものだった。つまり、空が裏返り海が沸き立ち人語を操る羊が群れを為して攻めあがったとか、そんな感じの黙示録的なにかが自分めがけてやってきたときの顔だった。

「はいこれ学生証。ところで、CiRiimで私の名前を検索してないんスか? 私の論文が“魔法考古学研究”に何本も載ってるの分かったはずっスけど。被引用数も含めて」

 テルマが口にしたのは、魔法考古学界でもっとも権威ある学術誌の名前だ。この追い打ちに、グリシュナッハは全身をぶるぶる震わせた。

「しっ」、グリシュナッハは、戸棚をひっかきまわして最良の反論を掴み取り、できる限り尊大な笑みを浮かべてみせた。「知らねェー。なにそれ有名なっ」

 言葉の最後を言い切る前に、テルマの手が伸びてグリシュナッハの襟首を掴んだ。

「お前はその言葉で、何人傷つけてきた」

「ひっ!?」

 グリシュナッハは短く悲鳴を上げた。テルマの表情にこもった義憤の熱量は、レベル差を越えて他者を圧倒するものだった。

「無教養を誇るな! お前の無知には! なんの価値もない!」

 テルマはグリシュナッハを突き飛ばした。肥った体が滑るように後退した。

 熱を抜くように、テルマは息を吐いた。怯えて浮遊するグリシュナッハに向けた顔は、心からの嘲弄だった。

「昔から不思議なんスよね。論文一本まともに読み通すだけの根性もなくて、ろくに勉強もしてない人ほど、大学の名前を口に出したがるのって」

 言葉を切って反応を見たが、グリシュナッハは震えているだけだった。

「ああ、ここに凡例があるじゃないっスか。お伺いしてもいいっスか? どうして大学の名前にすがる……おっと、答えを言っちゃったっスね。これは失礼」

 皮肉の切れ味が冴え渡っているのを、テルマは感じる。力を、もらえている。隣でオロオロしているだけの、言葉を操りきれず抱きしめるだけの、やさしいダークエルフに。

「お、おまえ……おまえなぁ」

 グリシュナッハが弱弱しく口を開いた。

「男に、それだけは言っちゃだめだろ」

 テルマは鼻で笑った。グリシュナッハは怒りの咆哮を上げ、無文字の短剣で切りかかった。すかさず生んだ盾が斬撃を受け止めた。

「ふざッけるなよ! ふざけるな!」

 力任せに短剣を押し込みながら、グリシュナッハが叫ぶ。魔法の接触面が橙色の火花を上げ、盾に亀裂が走る。レベル差ははっきりしている。努力してきたテルマと、遊んでいたグリシュナッハ。それでも、グリシュナッハの魔法はテルマを押し切ろうとしていた。

「いいよ、分からせてやるからさァ! ボクとオマエ、どっちの魔法が強いか勝負だ!」

「ルイーズ」

「せーのっ!」

 ルイーズはガントレットでグリシュナッハをぶっとばした。水平に飛んだグリシュナッハはテルマの生んだ魔法盾に激突し、盾の底に滑り落ちて動かなくなった。

「あほなんスか。付き合うわけないだろ」

 昏倒したグリシュナッハに、テルマは残酷な一言を投げつけた。

「はー、すげースッキリした! これぱくっといてよかったー」

 ガントレットを振り回し、ルイーズがはしゃぐ。テルマにだまし討ちのような形で装備させられた件を、彼女は今やかなり前向きに捉えなおしていた。

「いやまったく、あほはひっぱたいていくべきっスね」

「それな!」

「ああ、あと、助かったっス。ありがとう」

 ぼそっと呟いた感謝の言葉に、ルイーズの反応は劇的だった。眼を見開いて拳を握り、足をばたつかせ、高いうなり声をあげた。

「うえーい!」

 ルイーズはテルマに飛びついた。テルマは抱きしめられるままでいた。悪くない温度と湿度だった。

「待って、ルイーズ」

 だが、あたたかなひとときは続かなかった。盾の底に転がっていたグリシュナッハが、手足をぐったりと垂らしたまま、空中に漂い出たのだ。重たげな体は、引力が減じたかのようにゆるゆると下降していく。

「落下制御が切れてない」

「えっなに?」

「術者は別にいたってことっスよ」

 テルマは視線を下に移した。アーシェラもヴァージニアも、その姿は見えない。分断されたまま、不利な戦いを強いられているのだ。

「やば!」

 ルイーズはテルマを小脇に抱え、盾から飛び降りた。百メートルほど一気に下り、ガントレットを岩に突き立てて留まる。見下ろすが、アーシェラの姿はない。

 なにしろアーシェラは、ウグルクと一緒に二キロ近く降下していた。

 ウグルクとアーシェラは、揉みあいながら二十秒ほど自由落下した。レベル差にものを言わせ、アーシェラを突き飛ばすこともできたウグルクだが、その択は採らなかった。アーシェラが持つアーティファクトの性質が読めなかったからだ。アーティファクトが破損してしまえば、クエストは失敗となる。

「このっ! んこのっ!」

「がああ! うっとうしい女だな!」

 馬乗りになったアーシェラの非力な拳を捌きながら、ウグルクは壁面に視線を向けた。平たく、広く、仕留めたあと死体が滑落しないような場所が必要だ。

「受付嬢は茶でも淹れてろよ! 能無しが!」

 宙を蹴って態勢を入れ替え、アーシェラの首に手をかける。

「んぐぐぐぐぐ!」

 アーシェラはしゃにむに手を伸ばした。ウグルクの胸甲に差された短剣を抜き、頸にかけられた手首めがけて刃を振る。ウグルクはさっと手を引き、空ぶった短剣はアーシェラの手からすっぽ抜けた。

「あっぶな! クソ女が!」

「めっちゃ首しめてきてんじゃんそっちが!」

「は? だから抵抗するッて? 道理説いてんじゃねえよ!」

 アーシェラは膝で相手の腹を押し、つくった隙間に右腕を突っ込んでウグルクの内腿に手をかけた。左手で相手の肩を掴んで力いっぱい引きながら、巻き込むように回転し、再び上を取る。

「このっ! んんんこのっ!」

 アーシェラが放つ顔面狙いの鉄槌打ちに、ダメージは無い。だが相手を苛つかせることにはかなり成功していた。ウグルクはアーシェラの手を掴み、力を込めた。尺骨と橈骨が手の内で容易くたわみ、その不快な感触にウグルクは顔をしかめる。

「分かってんだろ、男には勝てねえんだよ! 無駄に暴れてんじゃねえぞ受付嬢!」

「いだだだだだ無理無理無理無理!」

「さっさと返せよ、アーティファクト! 楽に殺してやる!」

「無理無理無理無理!」

「どの無理だよ!」

 アーシェラはウグルクの腕を引っ掻いた。ウグルクはアーシェラを放り投げた。壁から突き出した平坦な岩塊の上を、彼女の身体は無抵抗に転がった。

「無駄なんだよ。下らねえな」

 自身も着地したウグルクは、土埃と苔と泥にまみれて転がるアーシェラを見下ろした。剣を抜いて、構える。むきだしのうなじに打ち下ろせば、容易く首を刎ねられただろう。だがウグルクはわずかに逡巡した。

「クソッ……くだらねえ仕事させやがって。テメエのせいだからな。女のくせに。大人しく男漁って結婚してりゃよかったのに」

 殺戮を正当化するための言葉を探すような、ためらいの時間だった。ウグルクは手の中で剣の柄を回しながら、ゆっくりと歩み寄った。

「必死でレベル上げて昼も夜もダンジョンに潜って傷だらけになって稼いで。気に食わねえ上司に女を殺して来いってアゴで使われて……男だけが!」

 ウグルクはアーシェラを蹴り上げた。うつぶせの身体が半回転し、仰向けになったアーシェラの手に握られているものを見てウグルクは飛びのく。

 一見して、ミルクガラスのアトマイザーだった。だが死に際して香水を振りまくような者はいまい。

「あたしも実はくすねてたんだよね」アーシェラは傷だらけの顔に不敵な笑みを浮かべてみせた。「みんなやってるし、なんかもういいかなって」

 バルブを強く圧し潰す。噴き出した紫色の霧は、意思ある生き物のように中空にとどまった。

 未知のアーティファクトを警戒したウグルクが、剣を構えたまま距離を取る。アーシェラは壁面に背をあずけ、ずりあがるように立った。

 実のところアーシェラは、手にしたアーティファクトがまったくの無意味であることを知っている。テルマによれば、この霧を吸い込んだ者は、レベルに応じたステータス補正を受けられる。補正はレベルが上がれば上がるほど倍率が高くなる。ひらたく言えば、レベル6のアーシェラが使ってもほとんど効果は得られない。

 ぺてんを仕掛けるには、いかにも毒物めいた見た目が説得力を持っていて、それでいい。どのみち、殴り倒すことなど考えてはいない。ダンジョン縦貫道の底に至れば、こちらの勝ちなのだ。

「やっぱり、けっこう慎重だよね。なんだかんだ言って、ゴブリン掃討のクエスト受けてくれたでしょ?」

 ウグルクは答えず、切っ先をアーシェラに向けたままだ。

「あたしを落っことすのにちょうどいい場所をずっと探してたし……もしかして、仲間との合流も考えてた?」

 アーシェラは、ウグルクの肩がぴくっと跳ね上がるのを見た。その反射はアーシェラに、答えを言い当てたのだと確信させた。

「なっ――」

「男だから」

 口を開きかけたウグルクが、アーシェラの言葉に目を見開く。

「男だから、粗暴に振る舞わなくちゃならない。男だから、無茶なクエストだろうと受注しなくちゃならない。男だから、名を挙げなくちゃならない」

 革の手袋が強くこすれる音。ウグルクが、剣の柄を力の限りに握りしめたのだ。

「男だから、気に食わない権力者の気に食わないクエストを呑んで、気に食わない殺しをやらなくちゃならない。それでここまで来たんでしょ、ウグルク」

「テメエ……」

「アーシェラ。あたしは、アーシェラ。受付嬢でもテメエでもない」

 怒りに任せて踏み込んだウグルクに、さっとアトマイザーの噴霧口を向ける。ウグルクは急制動をかけ、切っ先はアーシェラの瞳のわずか手前で止まる。刃は震えている。ウグルクの躊躇と怯えを、剣は包み隠さず語っている。

「ウグルク! 避けて!」

 その声はアーシェラのものではなく、縦抗のあちらこちらに反響しながらウグルクの耳に届いた。次いで、獣の唸り声と吼え声が響く。

「マウフルか?」

 直下の暗闇で銀が閃き、壁を蹴った狼がウグルクの腕に歯を立てた。革手袋を貫通した牙は骨に至り、ウグルクは絶叫して剣を取り落とした。

「ヴァージニア!」

 現れたのは、獣化したヴァージニアだった。銀の被毛を血で斑に染め、額に傷痕を刻まれた手負いの狼が、首を大きく振ってウグルクの腕を噛みちぎろうとしていた。

 次いで、なにかが爆ぜたような鳴き声。斑紋が入った金の被毛を波打たせ、一匹の豹がわずかな突起を駆け上がった。ヴァージニアはウグルクから飛び離れ、壁面を一気に駆け下った。ウグルクは腕を抑えて膝をついた。

「ウグルク、傷は」

 音も立てず歩み寄った豹を遠ざけるように、ウグルクは腕を振り回した。

「平気だ! 行け、マウフル! 追え!」

「殺してくる」

 頷いた豹は垂直の崖に身を投じた。ウグルクは激痛を押して顔を上げた。

 アーシェラが、剣を手にしていた。

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