第5話 スキルを覚えさせてみよう。


ダンジョンマスター6日目


あれから数日が経った。ターマイト達は過労死することもなく順調に掘削作業を続けていた。


作業速度を上げるため、昨日3匹ターマイトを新たに召喚し、4匹2班体制でダンジョンを広げている。今はアンの部屋を作っているところだ。さすがにいつまでも相部屋というわけにもいかないからな。アンは別に気にしないと言っていたが俺が気になる。


「私の部屋は別に後でもいいのだが…私は君と一緒の部屋でも大して気にしていないぞ?」


「いや、アンが気にならなくても俺が気になるんだよ。」


とにかくずっと一緒ってのは俺の精神衛生上よろしくない。勿論嫌と言う訳じゃないが、その…格好が色々と際どいからな。アンの今の服装は際どいコスプレ衣装のような服装だ。あれじゃまるでサキュバスだ。アンの抜群のスタイルも相まって男にとっては非常に毒だ。ああ、勿論そういう目でアンを見ているわけじゃないよ?


アンの服も買う事も考えだか今は追加のターマイトを召喚してDPはすっからかんだ。布の服も買えない。


「そういうものなのか?私は何とも思わないんだが…」


「なあアン。お前その格好で変な目で見られたことはないか?」


「特に変な目で見られたことはないと思うが…」


何日か過ごしてもしかしたらとは思っていたけど…アンって実は天然なんじゃないか?そんな格好してたら普通はやらしい目で見られるぞ?


「アン。もしかしたらお前に外の偵察を頼む事があるかもしれないけど、その時は別の服で行けよ。じゃないと絶対トラブルの元になる。」


「そうなのか?男心は分からないものだな。」


完全に自覚なしか。このまま付き合っていたらこっちが疲れるな。やっぱり部屋を作るんじゃなくて服を買った方がよかったか?




ダンジョンマスター7日目


アンの部屋と俺の部屋が完成した。大きさは幅が5mで奥行きが10m高さが3mだ。部屋に使うだけならここまで大きくする必要が無かったが、将来的にはダンジョンの一部になるからダンジョンに見合った大きさの部屋にした。


そしてターマイトは2交代で掘らせていた為いつの間にかレベルが上がっていた。半数以上がレベル5を越えている。アンに聞いた話だとモンスターに生態に適った行動を取ると多めに経験値が得られるらしい。シロアリと言えば穴を掘るのは主な仕事の一つだからな。


「レベル5を越えたようだな。レベル5を越えるとスキルを付与出来るようになる。ターマイトの詳細情報を見てみろ。」


俺は言われた通りターマイトの詳細情報を確認した。すると、スキルの欄にスキルを習得可能と書いてあった。俺はどのようなスキルを取得できるかを見てみた。どうやらターマイトが習得出来るスキルは以下の4つだった。


採掘速度アップ+1

採掘速度が5%上がる。


移動速度アップ+1

移動速度が5%上がる。


戦闘力強化+1

戦闘力強化+1を付与する。


経験値アップ+1

取得経験値が5%アップする。


今のところ一番優先するスキルは採掘速度アップだな。ダンジョンはまだまだ拡張したい。だが今は深刻なモンスター不足だ。呼び出そうにしてもポイントも不足している。移動速度は今のところ上げなくても大丈夫だし戦闘はそもそも猶予期間中は無いはずだ。経験値もすぐにレベルが上がるうちは必要ないだろう。


俺は迷わず採掘速度アップにスキルポイントを割り振った。するとターマイトの体が光り、モンスターの詳細欄に採掘速度アップ+1がスキルとして登録された。今はスキルレベルが低いから大して差は出ないだろうけどレベルを上げれば差が出てくるはずだ。


「なるほど。ダンジョン拡張を最優先するつもりか。」


「ああ、まずは何よりもDPを増やす方針で行くつもりだ。そうだな…1日で1000DPを得られるようになるまではこの方針で行こうと思う。」


「わかった。拡張に夢中で戦力不足にはならないようにな。」


「ああ、わかっている。時期を見て方針を変えるつもりだ。」


採掘作業はターマイト達が優秀なこともあって順調に進んでおり、既に直径3mの通路が50m程掘られている。採掘要員は順次追加する予定だから採掘速度はさらに上がるだろう。このペースなら1月弱で目標に届くはずだ。


俺はマップを見ながら次にどこを掘るかを考えていた。俺がいる所まで一本道じゃ防衛面で不利だ。俺がいる所まで続く道は可能な限り複雑にする必要があるな。幸いこっちはマップ機能でダンジョン内の状況をすぐに把握することができる。複雑なダンジョンにしても道に迷うことはない。複雑にすればするほどダンジョン攻略の難易度は上がるはずだ。




ダンジョンマスター15日目


ターマイトは16匹に増やした。今は4班体制で常に2班が動いている。採掘速度は数日前の2倍だ。今は俺たちのいる階層を掘っている班と上の階層を掘っている班に分かれている。上の階層とは大部屋を作ることを考えて階層と階層の間に20mの空間を設けている。俺が今いるここは第2階層になるというわけだ。


「ダンジョンの採掘は順調なようだな。」


「数を倍に増やしたからな。おかげでDPには全く余裕はないが。」


「だがこの1週間でダンジョンはかなり広がったんじゃないか?」


「だがまだまだ足りない。今の構造じゃ勘のいい奴なら1時間もあれば俺たちのところまで来れるだろう。」


ダンジョンが解放されるまでには迷路のような作りにしておかないとな。それにただ迷路にするだけではダメだ。相手の戦力を分断できるような作りにしないと。

この世界にも国はあるだろうから軍隊が攻め込んでくるかもしれない。そうなれば最低でも数百クラスの敵を相手にする必要が出てくる。


「1時間か…せめて数時間は掛かるようにしたいな。」


「今のペースで増員できれば猶予期間が終わるまでに5階層は作れるだろう。5階層あれば作り方次第で攻略に数時間はかかるダンジョンが作れるはずだ。」


数日中には採掘班をもう2班増やす予定だ。6班あれば3階層を同時に掘ることができる。まずは一番工事の進んでいる第2階層を完成させて完成次第、第1階層と第3階層に1班ずつ振り分けよう。上手くいけば3階層を作り終えるころにはクイーンターマイトを召喚出来るようになるかもしれない。クイーンの生んだ卵が成体になれば戦力の拡充と拡張速度の向上が一気に行えるはずだ。


1日で入手できるDPは500Pt近くに増えた。もう少ししたらクイーンターマイトを召喚するためにPtを貯め始めよう。


俺とアンはダンジョンをどのように拡張しようか紅茶を飲みながら話し合った。ちなみに俺が入れた。この前アンに入れてもらったがとても飲める代物じゃなかったからな…。

それと今までダンジョン拡張ばかり考えていたからな…そろそろ家具とかも購入したいな。未だに藁の上に寝ているし…ベットぐらいはショップで買いたいな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る