第3話 モンスターを使役してみよう。


「随分とデカいシロアリだな。俺の住んでいた世界のシロアリはせいぜい数センチだぞ。」


「そうなのか?もしかしてお前のいた世界にはモンスターは居なかったのか?」


「ああ、少なくともこんなデカいシロアリは居ない。」


数センチでも家の柱をボロボロにするのにこんなモンスターサイズのシロアリが居たら家ごとキレイに食べつくされるぞ。害虫なんて範囲じゃ収まらない。こんなのが数十万匹単位でいたら都市が食い尽くされるぞ。

それは置いといて…まずはステータスの確認をするか。


俺はモンスターの詳細欄をタッチしてモンスターの詳細な情報を表示させた。


ターマイト Lv1 ランクF+

保有スキル なし

適用スキル 虫モンスター強化Lv2

      害虫強化Lv1


他の個体も確認してみたが、レベル2の個体が1匹混じっていた。なるほど…5匹呼ぶと今ならLv2個体を1匹プレゼント中か。

Lvが1だからまだモンスター固有のスキルは持っていないな。それと俺の保有しているスキルはちゃんと適応されているみたいだな。やっぱりこの世界でもシロアリは害虫なんだな。


「アン、このモンスターは野生に存在するのか?」


「主に南の大陸の乾燥地帯に生息している。木造の家を木材を餌だと思って食べることがあるから害虫にも指定されている。あとは他のダンジョンマスターが過去にこのモンスターを召喚したことがあるな。」


「いま他のダンジョンって言ったよな?俺の他にもダンジョンマスターが居るのか?」


「ああ、居るぞ。基本的に大きなダンジョンのほとんどにはマスターが居るとみて間違いない。」


って事は俺以外にも死んで転生させられた人間が居るってことか。会う機会があれば一回会って話をしてみたいな。


「ダンジョンランキングというものがあってな。一定の順位以上になると他のマスターと交流することが出来るようになる。機会があれば顔を出してみるといい。」


そうだな。他のダンジョンがどんな感じか参考にもしたいし情報集もしたい。早めに順位を上げて交流会に参加してみたいな。

情報も確認したことだし早速ダンジョンを作っていくか。そういえばダンジョンってどうやって作ればいいんだ?モンスターを使役するのは分かるけど…いったいどうするんだ?


「早速ダンジョン作ろうと思うのだが、アン、どうやればモンスターに命令できるんだ?」


「ああ、まずはマップを出してくれ。そこから掘る範囲を指定する。そしてモンスターに命令すれば勝手に掘ってくれる。」


俺は画面からマップを出した。すると3Dマップが表示された。マップには俺たちの現在位置やダンジョン内に居るモンスターが表示されていた。ディスプレイが出たり3Dマップが表示されたり随分と近代的なもんだ。


そして俺はダンジョン内に居る5匹のターマイトを選び、マップで穴を掘る範囲を指定し、そこを掘るように命令した。するとターマイト達は命令通りに穴を掘り始めた。


「ちなみに掘った土はアイテムとして収納できるからこの部屋が土で一杯になることはない。収納方法は掘った土を指定して収納を選べばいい。殆ど価値はないが一応バザーで売ることもできるぞ。」


バザー機能か、今のポイントじゃ何にも変えないだろうけどポイントが貯まってきたら良い物はないか見てみるか。

そういえばダンジョンの入り口って必ず作らないといけないのか?卑怯なやり方だけど入り口を作らなかったら発見されることもないだろうし、安心してダンジョン拡張に専念できるんじゃないかな…?


「アン、地上に出入り口を作らずにダンジョンを大きくし続けることって可能なのか?」


「ダンジョン作成には60日の猶予期間があってその間は入り口を作らなくても問題ない。もし猶予期間中に入り口を作ったとしても今から60日は地上の人間には認識されないから安心していい。」


「猶予期間を過ぎて入り口を作っていないとどうなるんだ?」


「強制的に入り口が出来る。何処に出来るかは分からないから入り口は猶予期間中に作っておくことを勧める。」


じゃあ早いうちに地上に繋げたほうがいいな。こっちから作れば戦略の幅が広がる。それにこのモンスターが俺のいた世界のシロアリと同じ成体ならば羽アリが居るはずだ。飛行能力は低いが上空からの偵察に使える。猶予期間が終わる前に周囲の地形を把握しておきたいな。

そういえばここは地下だけど一体地下何mなんだ?あんまり深いと地上に通じる通路を掘るだけで猶予期間が終わりかもしれないな。まあそこまで深くはないだろうけど。


「アン、ここって地下何メートルなんだ?」


「大体地下50mといったところだ。普通のダンジョンならば第1階層か第2階層だな。」


地下50mか…深い場所にある地下鉄の駅ぐらいの深さだな。


「じゃあダンジョンとしてはまだまだ浅いって訳か。平均的なダンジョンはどのぐらいの深さなんだ?」


「平均すると地下1kmといった所だな。最上位ダンジョンともなると地下10kmを超えるな。」


平均で地下1kmか…日本の鉱山とか炭鉱は大体このぐらいの深さだな。大体20階層から30階層ぐらいのダンジョンが平均レベルになるのか。

しかし最上級ダンジョンは地下10km超えか…この深さに人が踏み入ったことはないだろうな。油田とかでこの深さに到達している所はあるかもしれないけど。まあ俺は専門家じゃないから分からないけど。


さてさて、さっき命令してからしばらくたったけどどこまで掘り進んだかな?


俺はさっき命令したターマイト達の様子を見てみた。驚くことにもう穴が出来ていた。幅は2m。深さも3m程だ。まだ1時間も経っていないけどここまで掘るとは驚きだ。

でもこの幅じゃ大型のモンスターを召喚した時に通れないな。ある程度ターマイトの数が揃ってきたら拡張工事をしないとな。


「どうやら君のモンスターを見る目は確かだったようだな。この短時間でここまで掘るとは、ここの土は結構固いはずだぞ?」


「ああ、俺が居た世界にいたシロアリは巨大な迷宮を作るからな。ダンジョンを作るのも朝飯前だろう。」


俺の記憶だとシロアリは超巨大な巣を作る。人間の大きさに換算すれは数十km規模になるだろうな。ダンジョンの構築能力だけなら上位モンスターとも渡り合える可能性もある。戦闘能力は高くないが…まあそこは数に物を言わせよう。初期のダンジョンに来る敵なんてたかが知れているはずだ。


「さて、穴を掘り終わるにはもう暫くかかるだろうしその間にダンジョンマスターについて説明しよう。立っているのもあれだ。ショップにイスとテーブルが売っているからまずはそれを買おう。」


「ああ、分かった。」


俺はショップを確認した。うわ…一体何種類あるんだ?

ショップには家具だけでも数万種類が揃えられていた。価格も数十DPから数万DPまで様々だ。椅子とセットで販売されているものもあるな。こりゃア〇ゾンも顔負けだ。とりあえず最初はセットで選ぶか。

俺はセット販売されているテーブルセットを選択し、購入ボタンを押した。ちなみに値段は3割引きセール中で250DPだ。ボタンを押すとすぐに魔法陣が現れ魔法陣の上にテーブルと椅子が置かれた。


「随分と大きなものを選んだな。」


「大きさの割に安かったからな。それに大きい方が何かと便利だろう。」


「まあそれもそうだな。さて、じゃあ穴を掘り終わるまで座学としようか。」


アンは懐から本を取り出し、机に広げた。いったいどこから本を出したんだよ…絶対にしまえない場所から出てきたよな今。

まあ何でもありの世界だろうから異次元から引き出したということにしておこう…。

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