初依頼1

【エルドラ城塞】


エルドラ城塞は、城郭都市全体を囲んで守る城壁とは異なり、都市の一角に建つ。城塞には都市の支配者(貴族)を主に収納し、外敵や、もし都市住民たちから攻撃を受けた場合に、その攻撃からも守る役割を持つ。エルドラ城塞都市の入り口は城塞に比べれば防衛は厳しくされてない。




周りに人がいないことを確認して、入り口付近の壁を走りながら登る。

壁の頂上に立ったところで下に誰もいないこと確認しまた同じ様に走りながら降りる。


さっそくスキルを使っている。

金さえあればこんなことしないがな。


『無事に街から出れたな』


ジュラール大森林まで一気に駆け抜ける。

ちなみに今回受けた依頼は「薬草採取」だ。

格好つけて依頼受けたくせにとか言われそうだが仕方ないじゃないか。

地の利はなんちゃらとか言うだろ。

まずは土地を知ってからやりたいんだよ。


ジュラール大森林入り口付近まで来る。

すると上から声が聞こえる。

何を喋っているかはわからない。


「あーれー?こんな早い時間なのに誰かいるよ?」

「気のせいだろ?」

「嘘じゃないよー、自分で見てみたら?」

〘ナイトアイ/夜目〙

「ん?本当じゃねーか、冒険者か?」

「どうする?」

「待て待て、俺達の目的はソレじゃない。先を急ぐぞ」

「あーい」


ハートの上を小さい舟が通りすぎ森の中に入っていく。

舟の上には白いローブを着た2人組が乗っている。

顔は見えないが一人は背が小さめだ。もう一人は大人だろう。


空を飛んでるのか。

そういう魔法もあるんだな。

俺もいつか飛んでみたい。

そんなことを考えていると入り口までたどり着いた。

ジュラール大森林‥デカイ‥


『薬草探すか』


見たこともない生態だらけだ。

これが、異世界か。


薬草採取は順調だ。

冒険者ギルドから貰った袋に詰める。

見たことのない生態達に夢中になり、

気づかないうちに奥に進んだ。

進み進み進み進み進み進み進み。


『迷った‥』


このザマである。




途方にくれながらも、

どうしようかと帰り道を考えていると、

シュッと音が聞こえた。

音のした方を見ると木に矢が刺さっている。

どこから飛んできたのかハートにはわからなかった。

そもそも俺を狙ってきたのか?


「ここになんのようだ?」


声は前方の木の上からだ。

木の上を見ると、矢を構えている猫獣人。

きちんと防具などをつけている。


正直に答えるしかないな。


『いやー、帰り道に迷ってしまって‥』


「帰り道だと?そもそも、武器も何も持たずにか?」


たしかにハートは武器を持っていない。

そもそも扱えないし、必要ないからだ。

武器を持っていないから基本的には敵意はない。

だが、一つここで考えてみてほしい。

武器も持たずに森にやってくる愚か者はいるのだろうか?

いないであろう。この世界の常識では。

故に猫獣人は警戒を解くことができなかった。


『ああ、本来は薬草を探すだけだったんだ‥』


猫獣人はさらに顔をしかめる。

質問に答えるほど怪しさは増していく。

いったいコイツはナニモノだ?





【ナイトアイ/夜目】[1等級魔法、効果:暗い場所や夜などでも目が効くようになる]

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