第25話 小さな少女と語りたい
翌朝、屋敷の1階ロビーに行くと
「お、カケヤン!トマリンから話は聞いとるで!今日は
一言で言えば白いワンピースなのだが、フリルの施されたそれは、見た目だけなら高貴なお嬢様っぽい
「なんや?
「自分で言うな。それじゃ出かけるか」
「ほーい」
本当に見た目だけは非の打ち所の無い美少女だな、こいつは。
そのせいで少しドキッとしてしまう。
屋敷の外に出て、早速困った事になった。
「出かけるとは言ったものの、どこへ行けばいいんだ?この国にはほとんど何も無いだろ………」
「えー?いきなりかぁ?カケヤン、ノープランにも程があるで!?」
「仕方ねぇだろ!ここには本当に何もねぇんだから!!」
「しゃーないなぁ………ほんなら、『勇者の泉』でも行ってみよか?あっこなら綺麗やし、そこそこロマンチックやん?」
「あ、ああ、そうだな」
情けないがいきなり行き先に頓挫した俺は、
そもそもデートなんてした経験無いし、さらにこんな何も無い所じゃ仕方ないだろ。
「はー、やっぱここは静かでええなぁ」
泉に到着した俺達。
こう言ってはなんだが、景色の美しいこの場所と『見た目美少女』の
「意外だな。お前が静かな場所が好きだなんて」
「失礼な
とりあえずは思いついた事を言葉にしたが、これ以上思いつく話題がなく、二人の間に静寂が訪れる。
「………なんや、ツッコミ
小悪魔っぽい笑みを浮かべながら俺をからかう
「う、うるせーな!こういうのは初めてなんだから仕方ねーだろ!!」
「え?」
「ん?」
何か変な事を言っただろうか?
「え………カケヤン、女の子とデートした事無いんか?まさか
またさらっと下ネタを、こいつは。
黙ってれば美少女なのに。
「わ、悪いか、この野郎!」
「ええっ!?カケヤン、背も高いしイケメンやのに童貞なん?意外やったわ。てっきり女の子を取っ替え引っ替えヤりまくりやと思うとったのに」
「何なんだお前のその価値観は」
すると
「んーん。ちょっと意外やっただけや。
相変わらずの下ネタ混じりではあるが、急に可愛らしい言い方をするものだから、俺も変に身構えてしまう。
だが、俺には気になっている事があった。
さっきからのこいつの口振りはまるで俺に惚れているかのようなものだが、俺にはそれが信じられなかったのだ。
俺とこいつはまだ出会って日が浅いし、こいつから好意をもたれるような事をした覚えも無い。
仮に俺の見た目がこいつの好みのタイプだったとしても、それだけでそんな話になるものなのだろうか?
この雰囲気に水を差すであろう事はわかってはいたが、聞かずにはいられなかった。
「………なぁ
「………………」
すると
「ギャルゲ計画の事か?………ははっ、あんなん真面目に考えてんのはトマリンだけやで。
「そうなのか」
一つの疑問が解消された。
ずっと気になってはいたが、
俺だけがその気になったところで、相手の女の子もその気にならなければ『カップル成立』とはならない。
その辺の事を
「
その話を聞く限りだと、こいつらの立場は俺と全く同じと言える。
恋愛を強制されているわけでは無いが、『できれば恋愛してもいいよ?』くらいのニュアンスだ。
「なら尚更だ。何でお前は俺に惚れているかのような言動をする?ただ単に俺をからかって楽しんでいるだけか?」
「………………」
「なあ、カケヤン。カケヤンはロリコンでは無いんやよな?」
「当たり前だ」
「せやったら、
「それは………どうだろうな。好みの問題もあるだろうし………そもそもその質問は『ロリコンじゃないなら』という前提なんだよな?」
「せや」
人を好きになる要素が外見だけで、しかもロリコンじゃないならと限定されているとすれば、
幼い容姿を好まない奴からすれば
「まぁ、そんなに真剣に考えんでええで。
「じゃあお前は何を………」
「でも、これだけは言うとく。
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