水☆ホシっ子 フィナーレ!

「This is 家~!」

「帰って来たな。」

「ここはhouseです。」

「帰って早々うるせぇなぁ。」

「ハウス!」

「犬か!」

「犬だ!」

「誰が犬だ!」

「バーモンドカ

「いらねぇよ。ちょっと掛け合っちゃったんだから、もう遅ぇよ。」

「完熟トマトのハヤシライスソース版もあるよ?」

「全然いらん。」

「美味しいよ?」

「いや、確かにめちゃくちゃ美味うまいけど! ボケとしてはいらねぇってことだよ!」

「……ルダナブラコッテ。」

「急に電話し始めるなよ! なんの要件があって電話してんだよ。」

「ピッピッって電子音がする。」

「それ、多分ファックスだよ!」

「あ、『只今の時刻は19時34分です』だって!」

「時報かよ!」

「良かったね~!」

「何が?! てか、時報に向かって秘密の合言葉言ったのか?!」

「だって、あっちがスリジャヤワって

「言わねぇよ! 時報は喋らねぇんだよ!」

「じゃあ、さっきの『只今の時刻は』って……。」

「それは喋るんだよ! 何なら、それしか喋れないんだよ! 何ホラー風に言ってんだよ!」

「ヒャーダラダラ。」

「なんか、音違ぇよ。」

「ピュードピュドピュ。」

「やめろ。」

「ニャーゴロゴロ。」

「猫かよ。」

「あっ! 私、猫だったらゆっちゃんの家にずっといれるんじゃない?!」

「お前、みたいなめんどくさいのペットとして飼いたくねぇよ。」

「でも、多分可愛いよ?」

「猫なんてみんな可愛いもんなんだよ。」

「でも多分、特別可愛いよ?」

「ペットってそういうもんじゃね?」

「私、めっちゃ懐くよ?」

「知ってる。今のまんまじゃねぇか。」

「猫だけに?」

「……。」

「ねこまんまってね!」

「聞く価値もねぇ。」

「ブォーン……眠い。」

「ユニークなあくびだなぁ!」

「私ね、21時までしかここにいられないんだ。」

「ふーん。」

「残り60分になったら、カラータイマーが鳴り始めるよ。」

「60分も鳴り続けるのウザいよ。てか、お前ウルトラマンかよ。」

「ウルトラウーマンかな!」

「死ねよ。」

「ウルトラウーメン。」

「勝手にあたし参加させてんじゃねぇよ。」

「ちなみに、残り60分になった瞬間にカップ麺のお湯を入れたら、残り57分完成します。」

「なんだ、その雑学っぽい当然なことは。」

「知らないの? カップ麺は2

「言わせねぇよ! 絶対言うと思ったよ。」

「だから実質、残り58分で食べれます。」

「カップ麺食べる気ねぇよ。」

「ちなみにチキンラー

「そのまま食べれるんだろ?! いらねぇよ。」

「残り61分で食べられます。」

「なんで、ちょっとフライングしてんだよ。てか、さっきからなんだ、お前にはスポンサー付いてんのか?」

「まぁ、ちょっとね。」

「ついてんのかよ!」

「悪霊だけどね!」

「楽しそうに言ってんじゃねぇよ! 『つく』違いだよ。」

「仕事に?」

「就く。」

「杖を?」

「突く。」

「明かりが?」

「点く。」

「嘘を?」

「吐く。ってなんだこれ?!」

「リピートアフターミー! つく!」

「何回言わせんだ。」

「つく!」

「わかったよ!」

「つく!」

「つく。」

「ボ~シ!」

「それ、言いたかっただけだろ!」

「ミーンミーン!」

「蝉うるせぇよ。」

「アブラ~アブラ~!」

「アブラゼミは名前を鳴かないんだよ!」

「カタ~ブラ~カタ~ブラ~!」

「黙れ。」

「……あぶろなみえ。」

「死ねよ、お前。」

「そういえば、片ブラって海賊の眼帯みたいになんのかな?」

「片方だけのブラジャーでもそうはならんだろ!」


―そうこうしてるうちに、時が流れた―


「『只今の時刻は20時48分です』だって!」

「なんで、また時報にかけた?! 時計の前で時報に掛けるなんて時計に対する侮辱だろ!」

「あと、10分しかないよ。」

「いいじゃん。RIME交換したし。ま、星がスマホ持ってんのはどうかと思うけど。」


―RIMEっていうのは、チャット型アプリのことでガンス―


「お別れのシーンだよ? 感動シーンにしちゃおうよ!」

「お前、昨日泣いたからいいじゃん。」

「やだよ! あんなの忘れて!」

「でも、特に言うことないし。」

「ほら、お互いピッチャー同士高め合って過ごした今夏までの2年半とか。」

「そんな、エース争いしたライバル同士じゃないし、そんな綺麗な話なんかない。第一、2日しか関わってないだろ。」

「『俺の方が綺麗に泡注げるし!』『なっ! 俺なんか2L入るし!』みたいなね!」

「ビールピッチャーの話かよ! 全然感動しねぇし、いくら高め合っても伸びしろ0だろ!」

「そういえば、私この2日でゆっちゃんのことすごい好きになった!」

「あ、そう。惚れたか?」

「うん!」

「いや、そんな満面の笑みで言われても……。」

「あ、照れてる?」

「うるせぇ。」

「可愛い!」

「……いや、鏡んとこ行けや!」

「なんで?」

「お前の持ちネタだろうが! こういうときに限って。」

「宣誓! 私はゆっちゃんのことを愛し続けることを誓います!」

「宣誓するなよ。恥ずかしいからもういいよ。」

「もう、ぜーんぶ好き!」

「どこが好きとか聞いてねぇよ! まず、2日であたしの全部なんかわかってたまるか。」

「1割を超すと全部になります。」

「全部の規模よ!」

「ま、好きだけどね。」

「“とりあえず言っとこ”みたいなスタンスやめろ!」

「ピーンチ! あと5分しかない!」

「はいはい。もう、玄関なんだしいつでも帰れるだろ。」

「……ゆっちゃんさ、旅館に連れて行ってくれたじゃん?」

「うん。」

「それももちろん嬉しかったんだけどさ、プライベートって言ってくれたのすっごく嬉しかったよ。」

「ふーん。」

「ゆっちゃんはどうだった?」

「ん~、めんどくさかったかな。」

「……。」

「でも、それと同じぐらい楽しかったかな?」

「ゆっちゃん!」

「いや、めんどくささの方が勝ってるかなぁ。」

「ゆっちゃん~!」

「嘘だよ、噓。」

「えっ! 嘘?! もう、こんな時間!」

「いらないよ、起きた瞬間遅刻確定した学生なんて。」

「起きたら骨壺の中だった人だよ?」

「まだ、その話続いてたのかよ! 怖ぇし、骨壺の中に目覚まし時計入れとくなよ!」

「もう、行かなきゃ。」

「だな。」

「じゃ、バ……ん?!

「抱きしめないと許してくれないんだろ?」

「……。」

「“最後ぐらい抱きしめとこうかな?”みたいな。」

「……。」

「2日間ありがと。」

ごっぢごぞ、あぎがどこっちこそ、ありがと~!」

「ぅわ! 顔ぐちゃぐちゃじゃねぇか!」

「ゆっぢゃ~ん!」

「く、来るな! 気持ち悪ぃ!」

「ひどい~!」

「1回顔洗ってこい!」

わがっだわかった~。」

「はぁ。リアル福笑いだな。」

がわいい可愛い~!」

「それ、鏡だよ! って、よく鏡見ろ! 今のお前の顔だいぶ怖ぇぞ!」

「……戻って来た。」

「その報告いらねぇよ。」

「抱き着いていい?」

「ダメ。」

「なんで~!」

「なんか嫌だし……ってか、21時過ぎてるぞ。」

「嘘?! ……『只今の時刻は21時03分です』だって。」

「呑気に時報聞いてんじゃねぇよ!」

「はぁ、寝よ。」

「帰れよ!」

「……じゃ、バイバーイ!」

「はいはい、またな。」

「あっ!」

「何?」

「1時間前にカップ麺にお湯入れといたから!」

「何してんだよ! もっと早く言えよ!」

「じゃあね!」


―水ホシっ子は去った―


「……本当に、カップ麺出来てる。最後までめんどくせぇ奴だな。……この場合電子レンジであっためてもいいのだろうか。」


―いいんじゃない―


「温めたけど……もう、汁がねぇ。」


―美味しい?―


「ま、味は美味しいんだけど、どっちかと言うと温かくて美味しい輪ゴム。」


―いいなぁ、ちょうだい―


「どうやって?! あたし、お前の姿見たことないんだけど!」


―ガガーリンは言ってたよ。君はまるで太陽のように眩しく、満天の夜空のように美しいって―


「地球を別の天体に例えるなよ、紛らわしい! てか、ガガーリンそこそこヤベェな!」


―マイク切りまーす―


「なんだ、その報告。」


―だって前回怒られたし―


「まぁ、そうだけど。」


―フォーーーー―


「叫びながらフェードアウトするな!」

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