ふたりきりの楽園には《幸せ》が満ちている

幸せを知らない軍人がたどり着いたのは、幸せに満ち溢れた鳥かごの楽園だった。

黒鷹将軍ラオイン・サイード・ホークショウ
彼は戦いに明け暮れ、戦争の最中数々の功績をあげたが、最後には国王陛下に裏切られ、重傷を負った。失意のうちに殺されるはずが、青い光につつまれ、気がつけば美しい花の咲き誇る楽園にいた。
彼を助けてくれたのは綺麗な少女だった。彼女は、ラオインのことをお人形さんと呼ぶ。
楽園に暮らす純真無垢なる少女との出逢いが、彼に幸せを教えることとなる。

ふたりきりの、とても、とても幸せな物語です。
この楽園は鳥かごであり、不穏な綻びもありますが、ふたりの愛がそれを繕い、幸福が破れることはありません。読み進めるほどに胸が暖かくなり、ふたりの愛の尊さにほあと感嘆が洩れます。どんな細やかな幸福も取りこぼすことなく、ひとつひとつ、拾いあげるような著者様の筆運びには感服する他にございません。
ふたりの幸せのおすそわけをもらっているような、素敵な読書時間をいただきました。ほんとうにありがとうございます。

あまやかな幸せのお味を口いっぱいに頬張りたい読者さまはぜひ、この物語を紐解いてみてください。花色の風が、あなたを楽園に導いてくれるはずです。

その他のおすすめレビュー

夢見里 龍さんの他のおすすめレビュー560