夜回し灯篭

深夜



黒が空から落ちてくる



静まりかえった街の中に



黒が世界を覆い隠して 目に浮かぶは淡い輪郭線



灯がともる



残業帰りの社会人が 我が家にようやく帰りついた



灯がともる



心配性の街頭が ひとり歩く子供を見守った



灯がともる



夜に目覚めた獣たちが 眠い眼を見開いた



灯がともる



迷子の車が 十字路を曲がってやってきた



灯がきえる



迷子の車に照らされて 小さな光は吹き消された

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