セピア

古錆びた街を歩いている





燻んだ空を迷い風が吹き荒ぶ



迷い風は古き香りを巻き上げた



誰もいない空き地 手入れ人のなき花壇



会う目もなければ話す口もなし



聞く耳もなければ笑う鼻もなし



無音が世界を包みこむ



埃被った煉瓦壁 塗装剥げたコンクリート



思い出は確かにそこにある



思い出は確かにそこから消えた





経る寂びた街を歩いている

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