人生が溢れ出ている

文章というのは人を現す。

そんな当たり前の文句が思い浮かんだ。この随筆は世界を慮っているような壮大なものではない。一人の庭師に焦点を当てて、その内側を素直に、そしてさらりと表現している。

しかし、そこで選ばれる言葉が、記憶が、流れを生み出し、物語を構成してゆく。生物が生ける場所としての庭、人間が生ける場所としての家、そして世界。

さらりとして冷たく流れゆくように見えるが、それらが一人の人を通して、いつの間にか温かい情感を掻き立ててくる。

人を感じたい時に読みたい随筆です。