ホラーだけど、どこか切ない

元ネタ(題材?)となっている漱石の作品のように、比喩表現がとても綺麗で、映像が目に浮かびました。
特に、幽霊が落ちてくる様を『おもちゃ箱に乱暴に突っ込まれた人形のようだった。』という表現が私は好きです。

恥かしながら、私は本作を読んだ後に、『夢十夜』を読みました。
実際に読んでみると、「国文科だろ? 漱石くらい読んでるだろう」というのも納得です。
第一夜のような恋に憧れる気持ちはよくわかります。
この作品に出てくる幽霊の彼女のように、もし私も死んで成仏できずにいたら、「百年、経ったぞ」と言ってもらいたいと思いました。