二曲目:Led Zeppelin『Babe I'm Gonna Leave You』
ツェッペリンの曲の中で最も好きな一曲。
私が最初に聞いたツェッペリンのアルバムは、『Early Days: The Best Of Led Zeppelin, Volume One』というベスト盤で、それを最初に聞いた時はあまり心に響かなかったことを覚えている。当時の私はGreen DayやThe Offspringといったポップパンク(メロコアという呼称もありますが、なじみがないので使わない)だったり、LMFAOやCalvin Harrisといった流行もののEDMだったりを好んで聞いていたので、なんだか古臭い曲ばかりだなあと、その程度で流していた。LMFAOの『Party Rock Anthem』の歌詞に出てきたから聞いたのだが、これは失敗したかもしれない、と勝手に落ち込んで、その時は結局一回だけ聞いて終わりにしていた。
それから一年くらいして、ひょんなことから(理由は全く覚えていない)古典ハードロックにハマりだし、その流れで当然ツェッペリンも聞き直した。それで、一曲目の『Good Times Bad Times』で少しテンションが上がり、『次はどんなカッコいいリフを聞かせてくれるんだ!?』と期待してCDプレイヤーに食いついていると、急にメロウなギターが聞こえてくるのだ。正直拍子抜けした。
古典ハードロックにハマったとはいえ、やはり『激しい方がいいに決まってるだろ!』といった感じだったので、やはりその時もあまり気に入る事はなかった。ちなみになぜか『Stairway To Heaven』はその時から割と気に入っていた。何故かは私にもわからない。
さらに半年たって、私の中のハードロックブームが落ち着いてきたころ。家に遊びに来た親戚の叔父が、ツェッペリンの『Led Zeppelin Ⅳ』のCDをくれた。曰く『リマスター盤買っちゃったから古いのいらないんだよね』との事。なんでわざわざ買い換えたの、と当時の私は無粋な事を考えたが、貰えるものは貰う主義だったので、在り難く貰った。そしてCDを一通り聞いて、それはもう完璧にドハマりした。何というか、ベスト盤で一曲ずつ聞いているのとは全く違う感覚があった。『Black Dog』『Rock And Roll』とハードでノリのいい曲が二曲続き、少しクールダウンした様な『The Battle Of Evermore』、そして壮大で美しい『Stairway To Heaven』。この四曲の流れはそれはもう本当に完璧で、何度も何度も聞き返した。
そんなこんなでツェッペリンにハマり、『せっかくだからアルバム全部そろえよう』という発想に至った私は、手始めにファーストの『Led Zeppelin』を買った。
さてこれを聞いて一言。『四枚目よりもいいかもしれない』。本当にそう思った。別に流れが完璧だとかそういうわけではない。ただ、一曲一曲の完成度というか、熱量が物凄かった。『Good Times Bad Times』もそうだが『Communication Breakdown』や『You Scook Me』や『Dazed And Confused』やら、どれもがすごかった。別にギターリフが激しいとかそんな事は一切ないのに、だ。
そんな中でも最も気に入ったのが『Babe I'm Gonna Leave You』だった。この曲はすごい。そう思った。
冒頭のメロウなイントロからプラントのしっとりとした渋くて綺麗なヴォーカルが入り、ゆっくりと、本当にゆっくりと加速していく。ドラムとベースが加わったり加わらなかったりと、全体で加速していく中でも緩急がしっかりしていて、七分近くあるのにすんなり耳に入ってくる。
曲が進むにつれてプラントのヴォーカルが『語り』から『叫び』へと移り変わっていき、そこにボンゾの力強いドラムとメロウなギターリフが加わればもう完全に鳥肌ものだ。三分程たった辺りでプラントが『オォーーーウベイーベーーーーー! ヘベイーベーーーー!』と叫ぶところなんかは本当にすさまじい。
そしてこの曲、似たような展開の曲は意外とあったりするのだが、この独特の空気感は他のバンドの曲で味わうことはできない。うまく説明ができないのだが、とにかくこの曲の持つオーラとでも言おうか、それが私にとって半端じゃなく合うのだ。色々さがしたが結局この曲でしか味わえない感覚だった。それならツェッペリンの他の曲はどうなのか、という話だが、似たような感覚はあってもこの曲には大きく劣るのだ。理屈では無くて感覚の話なので、かなり曖昧な部分ではあるが、まあとにかく、私にとってこの曲は最高の曲の一つなのだ。
初期のツェッペリンの熱量を生々しく孕んだ至高の名曲。ぜひ一度聞いてみてほしい。
ちなみに私のツェッペリン名曲十選はこんな感じ。
・Babe I'm Gonna Leave You
・Heartbreaker
・In The Light
・Trampled Under Foot
・D'yer Mak'er
・Stairway To Heavem
・Rock And Roll
・Achilles Last Stand
・Immigrant Song
・Dazed And Confused
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