第4話:超絶美少女と平凡男子
再び教室内がどよめいた。
地味でパッとしない男子、
一方の広志はブ男ではないにしても、一重の目に、フツーの鼻、フツーの唇といった地味な顔の平凡男子。身長も平均的な172cm。特に優れた特技もない。
たまたま広志と
超絶美少女、平凡男子。
超絶美少女、平凡男子。
超絶美少女、平凡男子。
やっぱり誰が何度見比べても、その事実は変わらない。
誰かが「そういえば、
「ああ、小学校から同じ幼なじみだって聞いたことあるよ」
誰の声かわからないけど、地味な広志に関するそんなレアな情報を知ってる者もいるんだ。広志は意外なこともあるもんだと驚いて、苦笑いを浮かべた。
青山が「またかよ」と言って、
「
「いいえ、同情票じゃないし」
「へぇ~っ、じゃあ
意地悪そうな笑いを浮かべた青山を向いて、
「うん、そうだよ!」
三たび、教室内が大きくどよめく。
「マジ?」
「嘘でしょ?」
「ウチの学年ナンバーワンの人気女子が、あんな地味でフツーの男子を彼氏にしたいって?」
「もしかして、幼なじみの腐れ縁ってヤツ?」
「いやいや空野が何か、
ざわめく言葉の、そのすべてがネガティブ。さながらネガティブワードの博覧会だ。ネガティブワード・エキスポ 2019 in 世界高校、絶賛開催中。
(短時間でこんなに色んな表現を思いつくなんて、ウチのクラスの人達はなんて頭の回転が速いんだぁ)
広志はいたく感心した。
──そう、真剣に。マジに。本気で。
空野広志って人間は、かなりのポジティブ思考──見方によっちゃ、アホかという思考の持ち主なのである。
青山がまた口を開いた。
「
急に教室内がしーんとした。学年人気ナンバーワン女子の
もし空野が
「いやぁ、空野君は、私の彼氏じゃない」
「はぁっ? ということは、やっぱ同情票なんだろ? 正直に言えよ
また青山が絡んでくるのを見て、広志は小声で
「もう同情票ってことにしとけよ。じゃなきゃ、
「別にいいよ。人気取りのために、自分の本音を隠す必要なんてない」
そして
「同情票じゃありません! でも空野君は、私の彼氏でもありません! 彼氏になってほしいんだけどね。事情があって無理なんです」
(そこまでカミングアウトしなくっても……
でもそういう真っ直ぐなとこが、
広志はそう思いながら、ちょっと垂れ目の優しい美少女の顔を眺めていた。
だけど、もちろん、
あの人気ナンバーワン女子が、実は平凡男子を好きだという衝撃の事実が今、明らかに! 〜しかも付き合いたいのに付き合えない事情とは?〜
そんな週刊誌の見出しのような事実が発覚したわけだ。
四たび、いや本日最大のどよめきが教室中を包んだ。
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