第12話 種族の違い

ちょっとシリアス?かな。では、どうぞ


<hr>


「え、なんでそんな、急に……」


「あんたはここにいる意味分かってるの?」


エレンが劉の言葉を遮って聞いてくる。


「精霊と妖精は人間を嫌っているからですか?」


「そこは知っているのね。その顔だと理由も知っているみたいね」


「はい。でも、最近は大木の妖精達と仲良くしていますよ」


「大木の妖精達はクイファの影響もあって、まだ、友好的なのよ。でも、他は違う。あなた外で大木の妖精以外の妖精や精霊を見た?」


「そういえば……見てない」


劉は思い出してみるが、外ではルゥ以外の妖精を見ていない。精霊なんて一度も見たことない。


「クイファは人間に友好的だけど、わたしは違う。人間は嫌い。特にルセンに住んでいる奴らには憎しみさえ持っている」


「人間に襲われたのは大分昔なんだったら今更……」


「今更?今更なんだっていうのよ。わたしやクイファはもう何百年も生きてる。それこそ人間に襲われる前から。人間とわたし達は生きてる年数が違う。人間達は忘れていても、わたし達は忘れられない」


「エレン、その辺にしときなさい。りゅーさんは関係ないんですから」


エレンが劉に色々と話しているとクイファが止めに入った。


「クイファ、なんであんたは人間に味方するの?あんただってあの頃を忘れた訳じゃないでしょ?」


「……確かにあの頃は私も人間を恨んでいました。でも、昔のことです。人間はあの頃を覚えていない。私達がいつまでも引きずっていては前に進まないのです」


「だから忘れろと?」


「そんなことは言ってません。前に進むためには抑えなくてはならないということです」


「別に人間達と関わらなくても生きていけるんだし、いいじゃない」


「エレン、あなたは再び自由を取り戻したくないんですか?」


「どういうことよ」


「人間と共存すれば隠れる必要はないんですよ」


「はぁ!?何言ってるの、バカじゃないの!」


「頭がおかしいとは思っていますが、自由を手にするにはこれしか方法がありません」


「……だからあんたはりゅーをここに住ましていたのね」


「まあ、それもありますが、それだけじゃないですよ」


「あの、2人ともそろそろ落ち着いてくれません?」


エレンとクイファが言い争っていると間に劉が割り込んできた。


「……とりあえず今日は戻るわ」


エレンはそう言って去っていった。


「「「・・・・・」」」


残された劉とルゥ、そしてクイファは少し無言だった。


「あの、クイファさん」


「りゅーさんはまだ、時間大丈夫でしょうか?」


「え、ああ、大丈夫ですよ」


「なら、移動しましょう。ついでにルゥも来なさい」


「はい」

「はーい」


劉とルゥが返事をする。その行動にクイファは少しだけ笑った。


●●●


「どうぞ、座ってください」


「あ、はい」


僕は部屋にある椅子に座った。

クイファさんに連れられてやってきたのは大木の一番上にある部屋だ。つまり、クイファさんの部屋。

部屋を見渡すときちんとしたベッドがあり、テーブルや椅子もあって人間が住んでいるように見える内装だった。


(そういえば、クイファさんっていつも人間姿だよなぁ)


ルゥから聞いたことで、精霊や妖精は訓練すれば人間になれるみたいだ。体が人間サイズになり、羽も消える。これは精霊や妖精だけができるみたい。妖精王や精霊王になると人間に関わることもあるので、外に出る時は人間姿じゃないといけないらしく、そのままでいることもあるそうだ。

基本的に精霊や妖精は人間を嫌っているので、普通は訓練をしないそうだ。


(エレンさんの精霊姿も見たことないなぁ)


そんなことを考えているとクイファさんが声を掛けてきた。


「珍しいですか?」


「ここでは見てない部屋だったんで」


「多分、私だけじゃないかしら?こんな部屋にしてるのは」


「基本飛んでますもんね」


横で飛んでいるルゥを見ながら言う。


「なによー、その目は」


「いやいや、なんでもないよ」


「ほんと〜?」


「ほんとほんと」


ルゥがじーっと見てくる。


「ふふ、本当に仲が良いわね」


「ほんと!?」


クイファさんが笑いながらそう言うと、ルゥが嬉しいように笑顔になった。


「本当よ。ルゥはりゅーさんが好きなのね」


「ふぇ!?そ、そそそそんなこと……ッ」


ルゥが顔を赤くして、俯く。


「りゅーさんはルゥをどう思っているのかしら?」


「え、僕?」


「ちょっと、お母さん!」


「いいじゃない、母親としては聞いておきたいもの」


抗議するルゥを軽くあしらうクイファ。


「で、どうなの?」


「ルゥは……友達かな。命の恩人でもあるけど、ここにきてからずっと一緒にいたし」


「そう」


「うぅ、そうだよね……あんまりアピールしてないし……でも、少しくらい……」


クイファさんは嬉しそうにし、ルゥはなにやらぶつぶつと呟いている。


「そう言えば話あるんじゃないですか?」




「ええ、実はりゅーさんにはここを出て行ってほしいのです」




<hr>

作者からのあとがき

今回はちょっとシリアス?な部分も入ってるかも?もう少しで1章も終わりです。頑張って今年中には終わらせようと思います。

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