第2話

まずはご飯を炊くところからスタートする。


五合炊きの炊飯器なら五合たっぷり炊くのではなく少なめの四合で炊くのがおすすめだ。


理由は炊飯時にお米がしっかり炊飯器の中で踊るようにしたいからだ、ギチギチに炊いてしまうと炊けたご飯を混ぜるのも大変だしね。




美味しいお米は美味しく食べたいじゃないか!


炊飯器を確認すればIHで圧力炊きのタイプだ。っていうかこれ、たっかい炊飯器だよね。




とはいえ、コメの研ぎ方でせっかく高い炊飯器にしても美味しく炊けない。


大事なことはまず一つ、炊飯器の釜で米は洗わない。


釜に傷がついてしまうのを避けるためというのが一つ、もう一つはお米のカケラを一緒に炊かないようにするため、そしていらない水分を足さないためだ。




お米をとぐ用のボールはないかな?と思いつつ調理器具を物色するとありましたありました。100円均一でも売っているお米研ぎボール。


便利なんだよね、これ。




そこに四合分のお米を入れる。


流しをみれば浄水器がついているので浄水で米を洗う、最初の水は入れてすぐ捨てる。


そのあとは水を何度か変えながらゴシゴシではなく、優しく洗って、しっかり水を切る。


で、炊飯器にお米をセットして、炊飯器の釜にあるメモリの四合のところまで水を入れる。




あとは早く食べれるように今回は早炊きモードで炊飯でスイッチを押せば、お米の準備は終了だ。




次はお肉の下処理、というか、豚バラもあったからついでに豚汁も作ろう、米とメインと汁物のセットの方が食も進むだろう。




改めて冷蔵庫の中から豚バラを取り出す。


あとは玉ねぎとじゃがいも、人参。




「あの、里芋って食べれます?」




「好きです!!ねっとりして美味しいですよね」




にっこりと笑う美女にならば豚汁に里芋も入れよう準備する。美女は台所に備え付けてあるテーブルにお行儀よく座ってニコニコしているので、冷蔵庫の中にあった麦茶のペットボトルからコップに移してどうぞと渡しておく。


自分の分も水分補給でコップに移して少し飲んで料理を再開する。




鍋に皮をむいて切ったじゃがいも、人参、里芋、薄切りにした玉ねぎ、三センチ幅に切った豚バラを入れて水をひたひたになるまで入れたあと、顆粒のかつおダシを入れて火にかける。一から出汁を取るのも一つだが、家庭の味ということであれば簡単便利な顆粒だしに勝るものはないだろう。




鍋が沸騰するまでの間に今度は生姜焼きの下準備だ。


脂身のところと赤身の間の筋の部分に包丁を入れて、小麦粉を薄くまぶす。


フライパンを温めている間に醤油、酒、みりんを1:1:1で混ぜておく、しょうがはチューブなのですりおろす必要はないので横にスタンバイさせておく。


温まったフライパンに大さじ1程度の油を引いて、温まったら肉だけを先に焼いていく




その間に沸騰した鍋からアクを取るのを忘れずに。


肉に火が通ったら別に皿を準備しておいて、一度取り出して下処理した肉を次々と焼いていく。


焼き終わったら一度キッチンペーパーで余分な油を取り、そのフライパンに合わせておいた調味料を入れて煮立たせる。煮立たせたあと、好みの量のしょうがを入れて出しておいた肉を戻してからめて火を止める。




冷蔵庫の中からレタスを取り出して手でちぎり、水で洗ったあと、キッチンペーパーで水気を拭き取って皿に盛ったあと、フライパンの生姜焼きを乗せて生姜焼きは完成だ。




テーブルの上に生姜焼きを乗せたところで早炊きで炊いていた米が炊き上がるので蓋を開けて余分な水分を飛ばしながら一度しっかりと混ぜる。その方がべちゃっとしないので美味しいのだ。本当は早炊きではなく通常モードで炊きたかったがそれは仕方ないとしてお茶碗にごはんをよそい生姜焼きとともにテーブルの上に乗せる。




冷蔵庫からマヨネーズを取り出し、箸とともに美女の前に置けば目をキラキラさせながら料理を見ている。


豚汁の仕上げに火を止めて味噌を溶き入れしっかり混ざったらこれもお椀によそいテーブルの上に準備をすれば生姜焼きとご飯、味噌汁の三点セットの完成だ。




「どうぞ、おあがりください」




そういえばパーッと表情が明るくなる美女。




「いただきます!!」




そういうと箸を手に取り黙々と食べ出す。食べるスピードは早いが食べ方が綺麗なので見ている側としては気持ちが良い食べっぷりに作ってよかったという気持ちになる。




途中、ご飯と豚汁をお代わりしつつ、多めに作った生姜焼きは途中、マヨネーズをつけながらあっという間になくなってしまう。




四合炊いていたご飯もあっという間になくなってしまって。豚汁も最後の一滴までその細い体のどこに入っているのですか?と聞きたくなってしまうぐらい綺麗に食べ切る。




「はぁ・・・おいしかった・・・」




色っぽいため息とともに満足そうにつぶやく美女はごちそうさまでしたと箸を置く。




「お粗末様でした。」




そういえば、にっこりと美女は微笑み、本当に美味しかったです。と言ってくれるので、なんだか気恥ずかしくなってくる。




「えっと、ところで あなたは誰なんですか?そしてここはどこなんですか?」




なんか、勢いでご飯を作ったんだけど、作っている間もずっと疑問だったんだよね。


この美女といい場所といい。車の中に居たはずなのに




「そうですね。食事に夢中になってしまい説明を後回しにしてしまい申し訳ありません。


私は貴女方がいう、神という存在だといえば分かりやすいでしょうか・・・」




神、女神というやつかな?うん、食いしん坊女神様ということで。


というか、この不思議空間にいきなりいたということ自体、自分が寝落ちして夢を見ているとか、幻覚を見ているとか以外ありえないだろうから。


おそらく女神様なんだろうということは不思議とすんなり納得してしまう。




「貴女をここに連れてきたのには訳があるのです。」




神妙な顔をしてみてくる女神様に内心、ご飯が食べたかったんですよね?とツッコミをいれてしまうのは仕方がないことだと思うのだが、とりあえずまじめに聞いてみようと思います。










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