Ⅴ よーせーくんの不思議な夢

 その夜、よーせーくんは少し不思議な夢を見た。

 よーせーくんは……何か半とうめいのかたい物に入っている。


 外から声が聞こえた。


「だから、シャランの行方がわからない今はせめてピルカをにがさないと――」

「にがすったって、どこにだ?」

「……地上よ。」

「待て、まだ地上のことはよくわからない――」

「えいっ!」


 何かが自分をつかんだ。落ちて、落ちて、落ちて、落ちて……


 最後、おちる前に聞こえたのは、

 何かものすごく大きい「ゴゴゴ……」という音と、


「やっつけろー!」


 という大声だけだった。


 そして、落ちた場所は落ちた場所で又音がすごかった。

 はじめは「ドドドド……」という音がするかと思えば、次は「ドカーン!」というすごい音。

 しかも、なんだかとてもあつい。


 しばらくしてあつくなくなった。その時、半とうめいのものがわれそうになっていた。何かみどり色のものがあるけど、気にしない。わって、わって、コツコツわって、そして――われた! ここが外だ!



「朝だよ、朝」


 よーせーくんはミリモンの声でおこされた。よーせーくんは首をかしげた。


(あの夢はなんだったんだろ)


 でも、たかだか夢なので、忘れることにした。



 もちろん、この夢がよーせーくんの出自に大きく関わっていることを、よーせーくんは知るよしがない。

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