約束

古城エフ

第1話

 高校最後の大会が終わった。

 最後の最後、あたしのミスで負けた。

 ブロックする瞬間、相手の目を見たあたしはワンタッチを読んで手を緩めた。

 それが裏目に出た。

 青と黄色と白のボールがコート内に跳ねると、あたしの青春は終わりを告げた。

 あたしは泣いた。チームメイトに謝りながら泣いた。

 これに勝てば全国だったのに。極限状態で消極的になった後悔が胸の底から溢れてくる。

 どうせなら全力で攻めて終わればよかったのに。今となってはもう遅い。

 小学校のクラブから始まって、高校の部活まで全部バレーボール漬けだったのに、自分を信じ切れなかったんだ。

 だから中途半端になって、負けた。

 泣き終わるとどっと疲れた。

 茫然として気付いたらバスに乗っていて、景色が後ろに流れていく。

 知らない町の知らない景色はよく見えているけど全く記憶に残らない。

 これからなにをすればいいんだろ? ああ。受験か。勉強しなきゃ。

 じゃあそのあとは? 大学入ってもバレーする? こんなに悔しい思いをしたのに、またできるの?

 分からない。

 ただ分かっていることが一つある。

 あたしは彼との約束を守れなかった。

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