って言うか、これがロックだ、違うかな?

まず申し述べて置きたいのは、多分この作家の作品にレビューできるレベルに、今の自分は無い、ということです。しかし、にも拘らず筆を執らせる魅力がこの作品にはあります。
冒頭の「まるで忘れられた野良犬のように封書が郵便受けに転がっていた」という表現に、かっこいいなあ、とまずヤラれてしまい、さらに肝心のロックンロールとのお別れのセレモニーの、その会場には結局辿り着かない!!というかそもそも辿り着かせる気なんて最初から無い!!!というところに、うわあロックだなーこんなに期待させといて、とシビれ、電車の中での夢の対話(でもホントはモノローグ)もかなりカッコ良く、最後の独白の場面は、なんだか荒野を吹き過ぎる風の音が聞こえるような、そんな気分にさせられました。
この作品の意図するところは、正直言って全く分かりませんが、上記のような理由から、私にとって大変魅力のある作品です。
意味なんて、関係ないのかも知れません。
詩のような小説。
カッコ良いロックを聴くと思わず覚えて歌いたくなってしまうように、声に出して読みたくなる、そんな小説です。