第八話 ゴブリン 魔王に会う

ゴブリンの癖に冒険者となった俺は、冒険者生活を満喫してはいなかった・・・。

朝から素振りを行った後、屋敷の掃除、洗濯を行い、朝食を作ってから二人を起こし、皆で朝食を頂いた後、猫耳メイドのエリーと街へ出かけて、冒険者ギルドで噂話などを聞いて回るだけだ。

街も毎回違う所に出掛けている。

クリスティアーネの担当地域が、冒険者登録を行った街、ソプデアスを含むネイナハル王国全土という事だった。

王国自体の動向は、悪魔族が担当しているとの事で、調べる必要は無い。

ネイナハル王国には大小様々な街があるので、日ごと違う街へと訪れる事にしている。

ただ情報を集めているだけでは怪しまれるので、薬草を収集して納品している。

これが意外とお金になる上に、薬草は俺がゴブリンとして生まれた場所にいくらでも生えていたから、それを収集して納品するだけの簡単なお仕事だった。

当然魔物はいるのだが、クリスティアーネの眷族になったからなのか、俺を見かけると魔物の方から逃げ出して行くようになっていた。

まぁ、進化しなくなった事だし、魔物を倒す必要無くなったので、不用意な戦闘をしなくていいのは助かる。

薬草の納品で、冒険者ギルドへの功績も稼げて、Dランクとなった。

次のCランクに上がる為には、討伐依頼を成功させなければいけないらしいのだが、特に上げる必要もない上に、ゴブリンである俺が討伐依頼を受けてやるのは、何か納得がいかなかったのでやるつもりもない。

クリスティアーネとエリミナは、ゴブリンリーダーがそうであったように、管理地の魔物達に魔石を集めさせて、それを回収して冒険者ギルドに納品していた為、Aランクまで上がったのだという事だった・・・。

正直ずるいと思ったが、Aランクになった所で、魔族の俺達に何か利点がある訳でも無いので、どうでもいい事だな。

クリスティアーネとエリミナは、門番や他の冒険者から尊敬され、優越感に浸れるのが良いそうだ・・・。

気持ちは分からなくも無いが、クリスティアーネの部下である俺は、Dランクのままの方がいいだろう。

毎日情報を集めてはいるものの、特に強い冒険者の噂を聞く事は無かった。

強いて挙げるなら、引退した冒険者の話だろう。

ドリームチェイサーと言うAランクパーティで、当時は勇者候補として魔族側も警戒していたとの事だ。

パーティメンバーは五人で、リーダーの疾風のアベルスティン、不死身のオルドレス、炎滅のシャルティーヌ、流星のイーアミス、聖人のクロクノス。

全員二つ名が付くほどの、一人一人が強い冒険者だったという事だ。

現在はパーティは解散し、それぞれ別の所で生活をしていて、危険はないそうだ。

ただし、クリスティアーネの屋敷から近くの街に、疾風、炎滅、不死身の三人が生活している事だった。

その中の疾風が、俺に料理を作ってくれた人だったという事だ。

危険は無くとも、クリスティアーネも日頃から警戒はしていた様で、俺とクリスティアーネが最初に会った時も、偶然では無く、疾風が管理地に入った事で監視をしていたそうだ。

当時の俺が戦っていれば負けただろうと、クリスティアーネに言われた。

本当にあの時戦わなくてよかったと、胸を撫で下ろしたものだ・・・。

その中の疾風と炎滅は夫婦で、子供が三人出来ているから、一応その子供達は監視する様に、クリスティアーネから言われている。

影からこっそり見た感じでは、警戒する必要は無いと思われた。

確かに三人共、両親から鍛えられているのは分かるが、何というか武人としての鋭さを感じない。

まだ子供だからと言えばそれまでだが、今後化けるかも知れないので、監視は続けて行く事にする。

そうやって集めた情報を、年に一度ほど、クリスティアーネが魔王の所に報告しに行っていた。


俺が冒険者となってから、およそ七年経ったある日、クリスティアーネに、エリミナと俺も魔王の所に連れて行くと言われた。

多分七年だろう・・・最近年の間隔が、よく分からなくなっていた。

生前、いや、ゴブリンの時でもしっかり何年経過したと言うのは覚えていたが、クリスティアーネの眷族となってからと言うもの、あれから何年経ったと言う記憶が曖昧になりがちだ。

クリスティアーネに聞いて見た所、眷族となった俺は不老不死となった事で、年に関する記憶が曖昧になるという事だった。

悠久の時を生きる者にとって、あれから何年たったとか覚えていては、気が狂ってしまうそうだ。

言われてみれば確かにそう思えるのだが、今まで普通に記憶出来ていた事が出来ない様になると、不便に感じてしまう。

そのうち慣れるだろうと言われ、諦める事にした。

それと不老不死だが、完全に死なないという事では無いらしい・・・やはり頭を失うとどうにもならないという事だ。

それとクリスティアーネの眷族である俺とエリミナは、クリスティアーネが死ぬと、俺達も一緒に死ぬ事になるので、われを守れよとの事だった。

しかし、クリスティアーネが死ぬことを想像する事が出来なかった。

何故なら、週に二、三度は、クリスティアーネと訓練と称した、真剣勝負をしていたからだ。

俺は刀に魔力を込め、全力で戦っているにもかかわらず、俺の刀がクリスティアーネに届く事は一度も無かった。

金貨一枚で買って貰ったこの刀の性能は素晴らしい物で、魔力を込めると刀身が黒くなり、その切れ味は岩も簡単に両断してしまうほどだ。

それに、無駄に衝撃波を飛ばす事も無く、非常に使い勝手が良かった。

おそらく切れ味が鋭いために、風をも斬り裂く事で、衝撃波が発生しないのだろう。

クリスティアーネの戦闘方法は、魔力を使った魔法攻撃だ。

次から次へと、様々な魔法が降り注いでくる。

俺はそれを躱したり、斬り裂いたりして、クリスティアーネになんとか近づくが、クリスティアーネの周囲に張られた障壁を突破する事が出来ない。

これでも本気では無いと言うのだから驚きだ、本気になると蝙蝠の翼を広げて、それをアンテナ代わりとして周囲から大量の魔力を集めるそうだ。

当然俺も同じ事が出来る様だが、魔法でクリスティアーネと戦っても勝てる筈も無いので、やるだけ無駄な事だ。

刀にまだ魔力を込めれば、更に切れ味が増すとクリスティアーネに言われたが、道具に頼らず、自分の実力で勝ちたい物だ。

それに魔力を込めて、この刀が壊れでもしたら取り返しがつかないからな。

二百年以上前の人が作った刀だから、替えは無い・・・。

時折、刀を買った場所に持って行って、手入れをして貰っていてる。

今の所問題は無いからいいが、無理は出来ない。

いつもの様に朝食の準備を終え、クリスティアーネを起こしに行く。

「クリス様、朝食の準備が整いました」

ノックをして声を掛けると、中からごそごそ音がして、暫くすると扉が開いて、クリスティアーネが姿を現した。

「クリス様、おはようございます」

「うむ、おはよう」

毎日この時間に起きる様になっているので、寝坊したりはしない。

クリスティアーネと共に食堂へ向かう。

エリミナは食事の用意が出来ると、自発的に起きて食堂の席に座って待っている。

「エリー、おはよう」

「エリー、おはようございます」

「おはようだニャン!」

クリスティアーネが席に着くと、食事が始まる。

「今日は、朝から豪華な食事だの?」

「はい、今日は魔王の所の向かうとの事でしたので、鋭気を養うために、少々豪華にしてみました」

「ふむ、確かに必要かもしれんの」

クリスティアーネはニヤリと笑って、食事を続けた。

魔王は持ち回り制で、今現在、悪魔族の代表が魔王となっている事は聞かされている。

それでもやはり魔王になれる位だから、非常に強く恐ろしい存在なのだろう。

味方である魔王に何かされる訳では無いだろうが、魔王に会うという事には身構えてしまうものだ。

朝食を終え、食器を片付けた後、玄関から出て魔王城へと向け出発する事となった。

とは言え飛んで行く訳では無い。

クリスティアーネの管理地がある場所は、大陸の最南端に位置していて、魔王城がある悪魔族の管理地があるのは、真逆の最北端に位置する。

ではどうやって行くのかと言うと、転移魔法を使って、一瞬のうちに移動するのだ。

転移魔法は悪魔族が得意とする魔法で、他の魔族や人族は使う事が出来ない。

吸血鬼であるクリスティアーネは、悪魔族から教えを請い、かなり努力して見に付けたと自慢話をされた。

「では転移するからの、近くに寄ってくれ」

「はい」

「準備出来たニャン!」

クリスティアーネは俺とエリミナが近寄った事を確認すると、蝙蝠の翼を広げ、周囲から大量の魔力を集めて集中していた。

「行くぞ!」

クリスティアーネがそう言った瞬間視界が暗転し、再び視界が戻った時には、目の前に氷に閉ざされた美しい城がそびえ立っていた。

「ここが魔王城でしょうか?」

「うむ、美しいだろう」

「はい、とても美しいですね、しかし、氷で閉ざされていて、何処から入るのでしょうか?」

俺が疑問に思って尋ねると、クリスティアーネは自慢げに胸を張り、城門に向かって歩き始めた。

「この城は、吸血鬼達がはるか昔に建てた城で、アイスクリスタル城と言う、今は魔王城という事になっているがの、城門に近づくと氷が崩れる仕組みになっておる」

クリスティアーネが言ったように、城門を閉ざしていた氷がキラキラと光を反射させながら砕け散り、城門が開いた。

その光景は美しく、素晴らしい演出だと思うが、敵が攻めて来た時は意味が無いのでは無いだろうか・・・。

俺が心配するような事では無いか。

クリスティアーネの後に続いて城門を通り振り返ると、また城門の外が氷に閉ざされて行く光景が見えた。

「クリスティアーネ様、お待ちしておりました、会議場へご案内いたします」

「うむ、頼むぞ」

城門を抜けると、悪魔族の衛兵と思われる人が近づいて来て、城内へと案内してくれた。

城の内部は、清楚な感じがして、俺が持っていた魔王の城のイメージとは懸け離れていた。

廊下に飾られている絵画や彫刻なども派手さは無く、上品な感じだ。

まぁ、俺の魔王に対してのイメージは、生前に物語やゲームで付けた悪の根源と言う、人側からのイメージだからな。

今魔族側に立って生活をしていると、人の方が悪に見えて来る。

現状魔族側は、自分たちの生活する場所を守るために努力していて、そこに侵略しようとしているのが人だからな・・・。

廊下を見渡しながら、衛兵に着いて行っていると、会議場へと着いたようだ。

「クリスティアーネ様、まだ皆様到着しておりません、席に座って今しばらくお待ちください」

「うむ、ご苦労」

衛兵は一礼をして去って行った。

会議場の中には大きな円卓に十個の椅子が置かれており、クリスティアーネは迷う事無く、その一つの席に座った。

「エリーとベルは、すまんが、われの後ろに立っていてくれ」

「分かったニャン!」

「分かりました」

円卓の入り口から一番遠い席が、豪華に作られている事から、恐らく魔王の席だろう。

という事は残り九つの席が、管理者が座る席という事か。

クリスティアーネが座った場所は、魔王の席を零番とすると、時計回りに八番目の席だ。

魔王の席に近い事から、クリスティアーネは管理者の中でも地位が高いのだろうか?

気になったので聞いて見る事にした。

「クリス様、この席の場所には意味があるのでしょうか?」

「うむ、魔王の席は分かるな?」

「はい、あの一際豪華な席でしょうか?」

「そうだ、今は悪魔族が魔王となっていて、われの隣にも悪魔族が座る、魔王の席の右隣りが、次の魔王の席となる。

吸血鬼一族は、先代の魔王であったため、この席となるのだ」

「つまり、後八百年以上しないと、クリス様は魔王になれないのですね」

「うむ、そう言う事だ・・・」

クリスティアーネは残念そうに肩を落としていた・・・しかし、八百年後には魔王になれるのだな。

八百年と言う長い年月を、今想像する事は出来ないが、クリスティアーネが魔王になった時、苦労しない様に努力して行こうと思う。

具体的にどうすればいいのかは分からないが、そう言う目標を持って生きなくては、猫耳メイドの様に、食って寝るだけの生活を送りそうで怖い。

「前魔王は、クリス様では無かったのですか?」

「われはまだ幼かったからの、前魔王はわれの母上であった、その内紹介してやるからの」

「はい、楽しみにしております」

俺がそう答えると、クリスティアーネはにっこりと微笑んだ。

そうしていると、会議場の扉が開き、身長三十センチほどの妖精がフワフワと、蝶のように羽を羽ばたきながら入って来て、座っているクリスティアーネに気が付くと、こちらまで飛んで来た。

「クリスが一番最初に来ているとは、珍しい!」

「うむ、われも成長しておるからの、そう言うアマーリアも随分と早いのでは無いのか?」

「クリスが知らないだけで、私はいつも一番に来ているの!」

アマーリアと呼ばれる妖精は腕を組み、クリスティアーネに怒っていた。

「ところで、クリスは新しい部下を連れてきた様ね・・・中々強そうじゃない!」

アマーリアは俺の周囲を一周飛び回って観察している様だった。

「やらんぞ!こやつはベル、われの新しい部下だ」

「アマーリア様、私はベリアベルと申します、ベルとお呼びください」

クリスティアーネに紹介されたので名前を名乗り、一礼をした。

「へぇ~、ゴブリンなのに礼儀正しいなんて、クリスにはもったいない!

ベル、次期魔王の私の所に来なさい!」

「だからやらんと言っとるだろうが!さっさと自分の席に行って座っておれ!」

「まぁいいわ!クリスの所が嫌になったらいつでも私の所に来なさい!」

アマーリアはそう言い残し、フワフワと円卓の上を飛んで魔王の席の右隣りに座った。

『クリス様、あの方は?』

俺は念話で、クリスティアーネに尋ねた。

クリスティアーネの眷族となった事で、クリスティアーネとエリミナとは、いつどこでも念話で話す事が可能だ。

この様な内緒話をする時にも、非常に役に立つ。

『あやつは、妖精女王アマーリア、人の物を何でも欲しがる困ったやつだの・・・』

『妖精女王ですか、あまり強そうには見えませんね』

『普段はあのような感じだが、怒らせると手が付けられんからの、気を付けるのだぞ!』

『分かりました』

次期魔王をあまり強く無いと思うのは失礼にあたるな、クリスティアーネが手を付けられないと言うくらいだから、相当強いのだろう。

怒らせないよう気を付けねば・・・。

アマーリアが席に着いて暫くして、次の魔族が入って来た。

それに気づいたアマーリアは、フワフワと飛んで行き、新しく入って来た魔族に話しかけていた。

「ヴァーリア、聞いてよ!クリスが強そうな部下を連れて来ているのよ!」

ヴァーリアと呼ばれた魔族は、赤いドレス姿に紫の髪が腰まで伸びていて、妖艶な雰囲気がする女性だった。

「あら、そうなの?」

ヴァーリアは俺の方を見て、一瞬視線が合った、その瞬間心を鷲掴みにされたような感じがした・・・。

「ベル、ヴァーリアはメデューサだ、視線を合わせる出ない!」

なるほど、俺は慌てて視線を落とした。

「あらあら、心配なさらずとも、仲間を石化したりしませんわよ」

「ふむ、それもそうだの、ヴァーリアすまなかった」

「いえいえ、気にしておりませんわよ」

ヴァーリアは俺の事は余り気にしていない様で、三番目の席へと座った。

続いて入って来たのは、長い耳に褐色の肌の男性三人だった。

男性は沈黙したまま、アマーリアとヴァーリアの間の二番目の席へと座り、他の二人は俺と同じように背後に立って控えている。

「スティーラス、元気にしてた?」

「変わりない・・・」

「前回エルフに攻められていたと言ってたから心配してたのだけど!」

「追い返したから問題無い・・・」

「よかった!」

エルフが攻め込む?

この世界のエルフは攻撃的なのか・・・。

『クリス様、エルフが攻め込んだとはどういった事なのでしょう?』

『あやつはダークエルフのスティーラス、エルフと仲が悪くての、いつも喧嘩しておるのだ・・・』

『喧嘩ですか?』

『うむ、殺し合いまでは発展せぬからの・・・本気でエルフが攻め込んでくるようなら、われらが動く事はエルフも分かっておるからの』

なるほど、仲は悪いが、魔族全体を敵に回す訳には行かないという事だな。

クリスティアーネと念話で話をしていると、突然入口の方から威圧感が凄い魔族が入って来た。

俺はクリスティアーネに会った時以来の恐怖を感じた。

「ヴァルギールよ、毎回威圧しないと入って来れんのか?」

クリスティアーネが尋ねると、ヴァルギールと呼ばれた紳士風の魔人は大笑いしてこちらへ来た。

「わーはっはっはっ、すまん、すまん、中々抑えるのが大変でな」

「要はお主が未熟という事だの!」

「ふむ、痛いとこを突く・・・」

クリスティアーネが指摘すると、額に手を当てておどけて見せ、クリスティアーネの隣、七番目の席にドカッっと座った。

この頃には先程の威圧感は無くなっていた。

「クリス、強そうな部下を見つけた様だな!」

「うむ、だがまだわれに遠く及ばぬ、ヴァルギールよ、こやつを鍛えてやってはくれぬかの?」

「構わんぞ、何時でも連れて来るといい、若い者達の中に入れて鍛えてやろう」

「ベル、良かったの、今度連れて行くから鍛えて貰うとよいぞ」

「はい、ありがとうございます」

鍛えて貰うのは非常に嬉しい、クリスティアーネと訓練しているが、どうしても魔法と刀では、いまいち俺の訓練にはなっていなかった。

戦いと言う意味では、十分訓練になるのだが、剣術と言う意味では全く訓練になっていないからな。

しかし、このヴァルギールと言う紳士は強さの底が見えない・・・。

『クリス様、この方はどの様な方なのでしょう?』

『龍族の代表で、ヴァルギールと言う、龍族の中では普通の強さだの、もっと強いのもおるが、こういった会議がめんどくさいと領地で引きこもっておる者ばかりだの』

『龍族って、クリス様の領地にいたあの竜ですか?』

『いや、あれは違うの、知性は持っておるが、単なる魔物だの。

龍族とはこの世に並ぶ物が無いほどの知性と力を持った者達の事を指す、この様に人の姿に変わる事も龍族にとっては簡単な事だの』

『龍族の訓練を受け、私は無事生きて戻る事が出来るのでしょうか・・・』

『安心せい、流石に命まで奪う事は無いと思うぞ?』

つまり、死ぬギリギリまで訓練させられるという事か・・・でも、それくらいやらないと何時までもクリスティアーネにも勝てないでいては、守る事も出来ないな。

『では、この会議が終わった後、訓練に行けるのでしょうか?』

『嬉しそうだの、まぁこの会議次第だが、ベルが訓練に行ける様にしてやる』

『クリス様、ありがとうございます』

龍族の訓練がどのような物かは分からないが、訓練を受け、クリスティアーネを守れるよう成りたいと思った。

訓練の事に思いを馳せていると、次の魔族が入っていていた。

その魔人は一目で鬼だと分かる、赤い髪に角が二本生えていた。

背後に控える者にも角が生えている事から、間違いないだろう。

鬼は誰に構う事無く、五番目の席へと座った。

そこに、フワフワとアマーリアが飛んで行き、話しかけた。

「ラモン、調子はどう?」

「調子はいいが、問題が無さ過ぎて退屈している!」

「ふ~ん、クリスが強そうな部下を連れて来ているわよ」

「ほう~」

アマーリアがそう言うと、ラモンと呼ばれた鬼が、こちらを睨んで来た・・・。

「ゴブリンにしては強そうだが、俺の退屈しのぎにはなりそうにない!」

「そう、残念!」

ラモンは俺の強さを見極めたのか、それ以降こちらを見る事は無かった。

「クリス、ラモンに鍛えて貰ってはどうなのだ?」

「ヴァルギール・・・われの大事な部下を殺されてはたまらんからの」

「確かに、鬼族は加減が無いからな・・・しかし、そのゴブリンなら生き抜けると思うぞ」

「ふむ、もう少し鍛えてから、預けて見るのもよさそうだの」

何やら俺が、鬼族の所に預けられるのが決定されている様だ・・・。

鬼族の訓練がどれくらい厳しいのかは分からないが、鍛えて貰えることには嬉しく思う。

だが死にたい訳では無いので、クリスティアーネが言う様に、もう少し強くなってからでお願いします・・・。

また別の魔族が入って来た様だ・・・。

ローブ姿で白く長い髪の青い肌をした美女と、真っ黒い甲冑に頭部が無い騎士だった。

ローブ姿の美女は、ふらふらとした足取りで六番目の席に座ると、クリスティアーネに手を振って声を掛けて来た。

「クリス~、久しぶり~」

「うむ、エミラダ久しいの、元気・・・では無いな、いつも通りのようだの」

「うふふ、元気よ~、顔色が悪いのはどうしようもないのよね~」

「まぁそうだの・・・エミラダ、われの新しい部下を紹介しておこう。

ゴブリンのベルだ」

「エミラダ様、ベリアベルと申します、ベルとお呼びください」

クリスティアーネに紹介されたので、エミラダに一礼をした。

「まぁ~、私はリッチのエミラダよ~、私の部下になればさらに強くなれるわよ~、こちらにいらっしゃ~い」

エミラダは、俺に手招きをして誘ってくれていた。

俺は強くなれると言われて、少し動揺していた・・・。

その事にクリスティアーネが気が付いたのか、くぎを刺された。

「エミラダ・・・われの部下を取ろうとするでない!

それとベル、確かにエミラダの部下になれば強くなれるが、自分の意志が無くなるぞ!それでもいいのか?」

強くはなりたいが、自分の意志が無くなるのは困るな、それに意思が無くなっては強くなる意味もない。

彼女はリッチと言う事だから、部下になると言うのはアンデッドになる訳か・・・それは意思も無くなるはずだ。

それは彼女の後ろに控えている、頭部のない鎧の騎士の様になるという事なのだろう。

「エミラダ様、私はクリス様の部下です、申し訳ございません」

「あら~、振られちゃったわ~、残念ね~」

エミラダは、少しも残念そうな表情を見せないで、そう言った。

クリスティアーネも本気で怒っている訳では無いので、彼女なりの冗談なのだろう。

もうほとんどの席が埋まって来たな、残りは魔王の席を合わせて三つか・・・。

そう思っていると、別の魔族が入って来た。

エリミナと同じ獣人だろうか?

しかし、耳はと尻尾は犬っぽい感じだから、違うのかな?

エリミナに聞こうと思って、エリミナを見ると、立ったまま寝ていた・・・。

どうりで今まで静かだった訳だ。

周りに人がいる状況で起こすと、クリスティアーネの恥になるのでそのまま放置した方がいいのか・・・。

犬耳の獣人は四番目の席に座っていた、背後に控える部下たちも犬耳だな。

アマーリアがフワフワと飛んで行って、犬耳の獣人に話しかけていたが、人数が多くなってきた事で、よく聞き取れなかった。

『クリス様、あの獣人はエリーとは違うようですが?』

『うむ、狼獣人のオルトバルだ、獣人族は様々な種族がおるからの、それを束ねておるのが今は狼獣人という事だの』

『分かりました、ありがとうございます』

犬かと思ったが、狼だったか・・・どちらも同じ様な気もするが、間違えては失礼となるから気を付けよう。

後はクリスティアーネの隣の席と、魔王の席のみか。

そう思っていると、悪魔族の者達がぞろぞろと入って来た。

「皆様、お待たせしました、魔王ゲルハルト様の入場です!」

悪魔族の一人が宣言すると、扉の向こうから、一際豪華な衣装を着た魔王が入場して来た。

魔王は、ゆっくりとした足取りで、席まで歩いて行き、皆を見渡してから席に座った。

悪魔族は一見普通の人のように見える、しかし、よく見ると目が赤かったり、牙が生えていたりしている。

魔王は堂々とした面構えで、威厳にあふれていた。

魔王の背後に控えていた悪魔族の一人が、クリスティアーネの隣の席に来て座った。

「これより会議を始めます、進行は私、ブレイヴァンが務めさせて頂きます」

クリスティアーネの隣の席に座った悪魔族が、会議の開始を宣誓した。

「まず最初に、私から各国の状況の報告致します。

北から、ラクシュム王国ですが、特に変わりはありません。

ネフィラス神聖国は、聖女がもう暫くすると交代する様で、それにより何か動きがあるかも知れません。

ローカスプ王国はいたって平穏です。

ケルメース王国は、お隣のカリーシル王国に向け戦争の準備を進めている様です。

この二国の戦争に対して、隣接するヴァルハート王国、ネイナハル王国は傍観を決め込んでいる様ですが、状況次第でどの様になるかは不透明です。

私からは以上です。

続きまして、アマーリアから順番に報告をお願いします」

様々な地名が出て来たが、俺にはさっぱり分からなかった、俺が活動しているネイナハル王国だけは知っているが・・・。

後で調べておく必要がありそうだな。

「異常なし!」

「こちらも異常はない・・・」

「異常ありませんわよ」

「冒険者に関しては異常は無いが、村がまた一つ襲われた!

ローカプス王国を滅ぼす許可を貰いたい!!」

アマーリア、スティーラス、ヴァーリアと発言して行き、オルトバルの所で、オルトバルが立ち上がり、声を荒げながら訴えかけた。

「オルトバル、落ち着いてください!私達の調査で、ローカプス王国の関与は認められませんでした、したがってローカプス王国を滅ぼす許可を与える事は出来ません!」

ブレイヴァンがオルトバルの意見に反論したが、オルトバルは納得がいかない様で、更に語気を強めてブレイヴァンに言い返した。

「ならば、我ら獣人族はこのまま襲われ続けるしか無いという事か!」

「そうとは言ってません!その都度救出隊は派遣しておりますし、防衛自体は獣人族の問題でしょう!」

「ぐっ、しかしそれは・・・」

オルトバルとブレイヴァンの言い争いは平行線をたどっていた・・・。

『クリス様、獣人族は襲われているのに、なぜ反撃してはいけないのでしょうか?』

『うむ、以前も申したが、我等の立場は魔族と人族の両方を守る事と定めている、国家が軍を上げて攻めて来た場合を除き、魔族全体としては関与しない事にしておる。

故に今回の場合も反撃してはならんのだ』

『分かりました、しかしなぜ獣人族は襲われているのでしょう?』

『それはの、獣人族・・・ダークエルフもそうだが、人族の奴隷市場で高値で取引されておるからだの・・・』

奴隷市場か・・・という事は国家単位で動いている訳では無いが、それなりの規模の組織があると思った方がいいのだろう。

獣人族にしても、全ての土地を守る事は不可能だろうし、奴隷市場そのものを無くさない限り、今後も襲われ続ける事になるだろう。

『クリス様、ダークエルフの方も襲われているのでしょうか?』

『いや、ダークエルフは管理地の奥地に引き込んでおるからの、滅多な事では襲われる事は無い。

ただ、外に出て行った者に関しては襲われておる様だが・・・それは自己責任だの』

なるほど、厳しい様だが、力を持った魔族だからそう言う事が言えるのだろう。

『クリス様、私をローカプス王国へ行かせては貰えないでしょうか?』

『それは構わぬが、何かいい手立てがあるのかの?』

『確実にとは言えませんが、生前私は犯罪組織と対抗する組織に所属しておりましたので、何かしら手立てを打てるかも知れません』

『分かった、その様に提案して見るぞ』

『はい、よろしくお願いします』

クリスティアーネはスッと立ち上がり、言い争いを続けている二人に割って入った。

「静まれ!!われに考えがある、オルトバルよ・・・すぐにとは行かぬが、少し時間をくれぬか?」

「クリス、吸血鬼のお前が、ローカプス王国を滅ぼすのに力を貸してくれるのか?」

「そうでは無い、ブレイヴァンが言っているように、今の時点でローカプス王国の関与は無い物と判断する。

しかし、その他の組織があるやもしれん、それを探し出すのに時間をくれと言っておるのだ」

「なるほど、そいつを見つけ出して潰してくれると言うのだな!」

「まぁそう言う事だの、それと攫われた獣人族の者達の救出は、ブレイヴァンがやってくれるのだろ?」

「それは勿論、責任をもって救出いたします!」

「そう言う事で、今回は怒りを収めてはくれぬかの?」

「分かった、だが再び獣人族が襲われるようなら、我慢の限界だ!

我等のみで攻め込ませて貰う!」

オルトバルはそう言うと、ようやく席に座った。

「クリス、感謝する」

「ふむ、安心するのは早いぞ、われの結果次第ではオルトバルが暴走するやもしれんからの」

「そうだな、こちらとしても協力は惜しまない、何なりと言ってくれ」

「それについては後で相談する事にして、まずは会議を進めるのが先であろう?」

「うむ、ラモン、中断してしまったが報告を頼む」

「異常はない!」

「問題無いぞ!」

「われの所も今の所問題は無い、例の子供達については監視を継続しておる」

「報告ありがとうございます、引き続き情報収集はお願い致します。

他に何か皆さんから意見はございますか?」

・・・。

「無い様でしたら、最後に魔王様、一言お願い致します」

ブレイヴァンが魔王に発言を促すと、魔王は皆を見渡してから一言発した。

「大儀であった!」

「魔王様ありがとうございます!皆さんには食事をご用意しておりますので、場所の移動をお願い致します」

魔王ってただ座っていただけか・・・会議も報告だけで、獣人族の所以外は問題無かったからこんな物なのかな。

問題があったらそれは困る事だから、何も無くてよかったという事なのだろう。

隣で立ったまま寝ていたエリミナは、食事と聞いて目を覚ましていた。

「ごはんニャ!」

この猫耳メイドは、食う事と寝る事しかしないな・・・。

クリスティアーネがそれで良いと言っているので、俺がとやかく言う事では無いのだが、少しは働いて貰いたいものだ。

管理者たちは、それぞれ悪魔族に案内されて部屋を出て行っている。

クリスティアーネも悪魔族に案内されて移動を始めたので、俺も遅れない様に着いて行く。

案内された先は、広いホールで丸いテーブルがいくつも置かれており、それぞれ好きな場所へと座っていた。

クリスティアーネもテーブルの席に着き、エリミナがクリスティアーネの隣の席に座り、俺はエリミナの隣へと座った。

テーブルの上には豪華の食事が用意されており、悪魔族の給仕が飲み物を注いで回っていた。

「では頂くとしようか」

「頂くニャン!」

「頂きます」

クリスティアーネが声を掛けると、エリミナは待ってましたと料理を食べ始めた。

俺も料理を頂く・・・美味いな。

こうして豪華な料理を食べる機会はあまり無い。

普段は自分で料理をしていて、二人に食べさせているから、こうして料理を用意して貰って頂ける事は非常にありがたい。

街に行った際は、エリミナの為に何か食べに行くのだが、大抵エリミナが俺の分まで食べてしまうからな・・・。

最初にアイスを分けてやった事から、俺はあまり食べないと思われたようで、毎回じっと俺の料理を見つめて来る。

料理を食べなくても、お腹も減らないし、死ぬ訳では無い事から、エリミナに分けてやっている訳だ。

エリミナが、このテーブルの料理を一人で食べてしまいそうな勢いで食べているが、三人しか座っていないので問題は無いか。

そう思っていたら、クリスティアーネの隣の席に魔王が座って来た。

「いやぁ、今日は助かったよ!」

非常に軽い感じで話しかけてくる魔王に、クリスティアーネはため息をついていた。

「はぁ、何時もそうしていればいい物を・・・それで用事はそれだけか?」

「連れないなぁ、クリスと一緒に食事をしたくて来たんじゃないか~」

「それなら、大人しく食べるがよい」

クリスティアーネは魔王を無視して食事を再開した。

魔王は、先程の会議の時の様な威厳は全く無く、非常に軽い感じがした。

魔王はクリスティアーネに言われた通り、食事を食べ始めながら、話しかけていた。

「クリスは、いつもは問題に関わらないのに、今日はどういう風の吹き回しだい?」

「ふむ、それはの・・・いい部下を手に入れたからだの」

クリスティアーネはこちらを見てそう言った。

「ほう~、あのゴブリンは確かに強そうだが、問題を解決するのには強さだけでは意味が無いと思うのだが?」

「うむ、ベルは強さだけでは無いからの」

クリスティアーネは自慢げに魔王に言った、そこまで褒められると非常に恥ずかしい上に、これは何としても問題を解決しないといけないようになってしまった様だな・・・。

「クリスがそこまで言うのなら、期待できそうかな?」

「勿論期待してよいぞ、それと、そちらから移動の手伝いをしてくれる者を寄こしてくれると助かる」

「それは勿論協力するよ~、ソフィー」

「はっ、魔王様、お呼びでしょうか!」

「クリスに協力してやってくれないか?」

「魔王様のご命令とあれば!」

「じゃぁ~問題が解決するまで、頼んだよ~」

「承知しました」

魔王は背後に控えていた、悪魔族の一人に声を掛け、俺達に協力するよう要請していた。

「クリス、ソフィーを付けるからよろしくね~」

「うむ、感謝する。所で、皆知っておるのだから、普段から普通にしていればいい物を・・・」

「そうなんだけどね~、魔王になったからには威厳を保たねばなりません!とブレイヴァンがうるさくてね~、元々俺が魔王になるより、ブレイヴァンが魔王になった方が良かったんだけどねぇ~」

「しかし、お主の方が強いのであろ?」

「そこなんだよね~、なぜか勝っちゃうんだよね~、あははははは」

魔王は笑っていたが、戦いになると豹変するタイプなのだろうか?

クリスティアーネも勝てないように言っていたから、俺なんかでは太刀打ちできそうにないな。

「じゃぁ他の所に挨拶に行かないといけないから、またねぇ~」

魔王は席を立ち、手を振って他の席へと移って行った。

「明るい魔王様でしたね」

「うむ、昔からあのような感じだの」

しかし、魔王自ら席を回って挨拶するとは・・・まぁ、他の管理者たちも魔王候補な訳だから、対等な立場と言えばそうなのだろう。

テーブルの上にいつの間にか、アマーリアがやって来ていた。

「クリス、あんな事を言ってたけど大丈夫なの?」

「アマーリア、あんな事とはどんな事だ?」

「あれよ、悪の組織を見つけ出すってやつ!」

「ふむ、アマーリアは心配してくれておるのか?」

「当然じゃない!もし見付からなかったら、獣人族から非難を受けるわよ!」

「そうだの、ならばアマーリアは手伝ってくれるのか?」

「それはちょっと・・・私は忙しいから無理だけど、応援はしてあげる!」

「アマーリア、ありがとう」

「うん、じゃ頑張ってね!」

クリスティアーネがお礼を言うと、アマーリアは満足した表情を浮かべて、フワフワと別のテーブルに飛んで行った。

「アマーリア様は、クリス様の事を心配して来て下さったのですね」

「単に話をしに来ただけだと思うが、まぁそう言う事にしておくかの」

クリスティアーネは飛んで行ったアマーリアを見ながら笑っていた。

たとえ話をしに来ただけでも、クリスティアーネの表情が緩んだことは非常にありがたかった。

食事を終え、席を立ち帰ろうとしていると、俺達の元へ、先程魔王が俺達に手伝うよう言ってくれた、悪魔族の女性がやって来て挨拶をしてくれた。

「クリスティアーネ様、私は魔王様の配下でソフィーラムと申します、ソフィーとお呼びください。

今日からクリスティアーネ様の下に就きますので、よろしくお願いします」

ソフィーラムはクリスティアーネに一礼をしていた。

「うむ、よろしく頼む、われの部下で、エリーとベルだ、主にこの二人と活動して貰う事になるからの」

クリスティアーネは俺達を紹介してくれた。

「私はエリミナ、エリーと呼んで欲しいニャン!」

エリミナはいつものポーズを取って自己紹介をしていた。

やはりあれは決められた事なのだな・・・。

「ベリアベルと申します、ベルとお呼びください」

俺は、ソフィーラムに一礼をした。

「ソフィー、今日は屋敷に帰って、明日から調査を始めるから、送ってくれるか?」

「承知しました、では外へ出ましょう」

ソフィーラムに案内されて、魔王の城から外に出た。

城外に出る時も氷が弾け飛び、キラキラと光を反射してとても美しかった。

最初は無駄に思えたが、ファンタジーの雰囲気が出ていてとても良い物だと思える。

「ではお屋敷まで転移いたしますので、お集まりください」

「頼むぞ」

俺達がソフィーラムの元に集まると、ソフィーラムの転移魔法で慣れ親しんだ屋敷へと戻って来た。

「ベル、ソフィーを部屋へと案内してやってくれ」

「分かりました、ソフィーさん、こちらへいらしてください」

「よろしくお願いします」

俺はソフィーラムを空き部屋へと案内した。

以前俺がエリミナに案内された時のように、埃をかぶった部屋では無い。

俺が毎日全室綺麗に掃除しているから、綺麗な部屋だ。

「ソフィーさん、この部屋をお使いください、夕食の準備が整いましたらお呼びいたします」

俺がそう言って部屋を出て行こうとすると、呼び止められた。

「ベル、私の事は呼び捨てで構わない、それと敬語も不要だ!」

「分かった、ソフィー、これからよろしく」

「あぁ、よろしく」

俺は笑顔・・・ゴブリン顔で笑顔にしてもいまいち笑っている様には見えないのだが、まぁ笑顔を向けると。

ソフィーラムも笑顔で応えてくれた。

明日からは、ローカプス王国で獣人族が売られている奴隷市場の事を調べて行かなくてはならない。

クリスティアーネの立場を悪くさせないためにも、失敗する事は許されないだろう。

時間はかかっても慎重に事を進めて行かなければならないな。

急いては事を仕損じる、とも言うし、焦らずやって行こうと思う・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る