第2話 VS甲冑

 しかしそれにしても子どもの声はどこから聞こえてたんだ?

 部屋に子どもなんて一人もいないし……。


 っまさかこれって……!!!

 ドッキリか!!!!!!!



 ……それにしても、部屋黒い上に薄暗いなー。

 そりゃ一応見えはするけど、明かりとかないのか?


 部屋全体を見回すと、おそらくランプであろう物を見つけた。


 ……えっと、あ、スイッチこれか。



 カチッ



 ランプがついた瞬間、目の前に真っ赤な液体で汚された首から上がない人間の絵が目に映る。


「っ!!!」


 こ、これは!!!!!!!!


「絵が気に入らないなら買うなよ!!!」


 こんなに汚して……!


「ったく……この汚れは落とせそうにないな……」


 こんな(俺的には)良い絵どれだけ時間かけて描いたか分からないのに……!


 まぁ確かにリアルな絵だから頭がないのは多少不気味だけどこんな風にしなくても。


 ……あれ、そう言えばこれドッキリなんだよな?


「すみませーん!

 これドッキリですよね!?!?」


 ……あ!今の絵ってまさか驚かせようとしてた!?


「……リアクションなんか微妙ですみませんでしたー!!!!!」


 番組の尺とかもあるだろうからここにずっといるのも良くないな。

 外に出られないか確かめてみるか。



 真っ黒な扉の方へと向かいドアノブをひねろうとしたとき、ドアに何か真っ白の板が貼ってあることに気付いた。


 と、赤い何かが突然現れて文字になる。


『ドウセ ニゲラレナイ

 コノセカイカラハ ニガサナイ


 ニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイ』


 手が込んでるなぁ。

 ……どうやってやったんだろう。

 まぁ今って割と何でも出来ちゃうから何か特殊な機械でも使ってるんだろうな。


 そう考えて、俺は文字のことは特に気にすることもなくドアノブをひねった。



 ガチャ



 お、開いた。


 どうやら廊下のようだ。横幅広いな。


 廊下は先ほどの部屋のように黒一色というわけはなく、赤い絨毯じゅうたんがひかれていて左右の壁際には銀色の甲冑がずらりと並んでいる。


 カッコいい……!!


 剣一本くらい借りて行っちゃだめかな……?

 いや撮影の間は借りててもいいよね!!


「剣一本借りまーす!!!!!」


 当たり前だが返事はない。


 剣っていうかサーベル?……まぁいっか。

 とにかく俺はそれを甲冑の手から抜いた。



 扉は今俺が出てきたのを除いて正面と左右に三つ……。


 とりあえず右から行くか!


 右の扉にあと少しで手が届く、というところまで歩くと何と甲冑が一体動き出した!!!


「クルナ……クルナ……!!!!!!」


「え、いや行くけどさ。」


 これ中に人入ってる?

 ……いやこれ中に人入ってないな。


 ………………リモコンすげぇ……!!



「うぉっ!」


 普通に剣振ってきた!


「番組さんごめん!!」


 持っていた剣で思い切り甲冑の手首に攻撃を喰らわせる。残念ながら甲冑は剣を落としてはくれなかったが剣を床の方へ向けよろめいたので俺はその隙を逃さずに全体重を足にかけて剣を踏みつけ破壊した。

 が、まだ甲冑は動いていたので一本背負いで床に叩きつける。

 あ、甲冑の頭と足の部分取れた。

 ……何か、ごめん。


 それにしても筋トレとか道場巡りとか色んな格闘技とか好きで良かった~。


 因みに剣道も柔道も一応段とってるし最近はサバット習ってる。

 もちろん他にも空手とかボクシングとかキックボクシングとか色々かじってるよ。


 ……あれ、もしかして今のまずかったか?



「……あの!今のは正当防衛なんで!!

 俺は払えるお金なんてないんで!!!!!」


 一応そう叫んでから扉の方へと更に近づく。



 いくらリモコン操作とはいえ、流石にもう動いていない甲冑が視界の端に映った。

 ……壊れてませんように。

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