ゴミ捨て場のレイナ

プロローグ

プロローグ

 私が生まれた15年前の夜、その日は流れ星が降り注いだって聞きました。


 その話を繰り返し私にしてくれたのは、マサじいさん。

 その夜はふたご座流星群がピークだったみたいで、ゴミ捨て場のみんなで、「この赤ちゃんが幸せになりますように」って、何度も流れ星に願ったんだって言ってました。


 だから、私は強運なんだって。

 歌姫になるために生まれてきたんだって、マサじいさんはいつも言ってくれたんです。


 ――ありがとう。こんなに大きな舞台で、こんなに大勢のみんなから声援を送ってもらえるなんて、本当に夢みたいです。


 今も、毎日想ってるの。朝目覚めたら、ゴミ捨て場の家に戻ってるんじゃないかって……これは夢なんじゃないかって。


 だけどね、ゴミ捨て場の世界が最悪だったってわけじゃないの。

 仲間がたくさんいて、みんな優しくて、ママもいつも一緒で……大切な日々だった、本当に。


 あの頃に戻れたらって、たまに思うこともあるぐらい、大切な場所だったの。みんなにも、そういう場所、あるでしょ?


 ――ごめんなさい、思い出したら、涙が出てきちゃって。

 だって、ほんの2年前まで、私はあそこにいたの。ゴミ捨て場が、私の生きる場所だったの。ずっと、ずっと。


 私がゴミ捨て場にいたことは、今まで何度もインタビューで話してきたし、みんなも知っていると思う。

 でも、最後の歌に入る前に、その話をしてもいいですか? 今日は話したい気分なの。


 ――ありがとう。それじゃあ、話します。

 何から話そうかな……。とりとめのない話になっちゃったら、ごめんなさい。


 私は、ゴミ捨て場で生まれて、ゴミ捨て場で生きてきました。

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