五感に訴えかけてくる怖さ

空の色。波が岩に打ちつける音。思い出の中の花の匂い。
季節特有の空気の温さや重たさ。海水に濡れた服の感触。
自分の身で体験しているかのような思いがします。
海と山の境、小さな集落で培われた、土地の風習への畏れと、人間の所業の恐ろしさ、そんな中にも、ただ薄気味悪さ・後味悪さとは違った、人の温かみのようなものも感じられて。
とてもとても怖いのに、読んでよかった、そんな気持ちになりました。

このレビューの作品

忘谷拾遺

その他のおすすめレビュー

康仁さんの他のおすすめレビュー24