ひと目で心を射抜かれる鮮烈な文章

就職したての主人公が、ふと思い立っておじさんの家に遊びに行くお話。
ホラーでした。最後の、あの一気に突き放されるような締め方が好きです。反則気味のように思えるのに、でもこの結びがきっと一番怖い。実際怖かった。ホラーである以上怖さを優先するのが正義。
そして文章が好きです。死ぬほど好き。特に冒頭、「そういうのの帰りだった。」のとこのストンってなるリズム。いきなり心のど真ん中を鷲掴みにされて、そのまま一気に読みました。
文章そのものが面白いと、ただ文字を追うだけで「面白いぜポイント」がチャリンチャリン溜まっていくのでずるいです。アイスクリームの、普通のコーンに対するワッフルコーンの卑怯さです。
その文章によって軽妙に、でもそれ以上に丁寧に、日常やそこに繋がる過去やらをしっかり積み重ねた、その上でいきなり後頭部を殴りつけてくる極太のホラー。強烈でした。面白かったです。

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