四季折々―友人の私信―

誉野史

序章


 


 時に


 


 友人を心から信用できない自分に恐怖を抱くことがある。


 


 時に


 


 友人が思っていることが私の頭の中に入り込んでくることがある。


 


 時に


 


 友人が期待してくることと逆のことをしたいと思うことがある。





 「ああ、自分はなんて不幸ものなのだろう」



 自分がこの世に存在するというだけで、この世に余計な不幸をまき散らしているのではないかと思う時もある。それくらい、自分が今この瞬間に何かをしてしまうのではないか。

 

 と、言い切れるのだろうか。自分には本当にそう思っているのだろうか。


 

 だったら、友人の期待を裏切るようなことはしないだろう。

 

 自分を犠牲にしてまで、友人を庇う行動に徹するであろう。

 

 だが、それはしない。

 

 理由は明白にはならない。

 

 何度考えても、明白にはならないのだ。




 

 それは、何のため。

 

 それは、何が理由で。



 

 さっぱり、わからない。




 

 だからこそ、自分には「自尊心」がないとは言い切れないのだ。自分でそう思っていても、心では百パーセント自己犠牲論を奏でている時なんて一度もないのだから。

 


 「ああ、なんて自分は不幸ものなのだろう」

 

 「ああ、そんな自分が嫌いじゃないのは何故だろう」

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