第6話 田中(♂)はタナファ(♀)と成りて、異世界の辺境の農村の農家の娘となる—— 『早い話が、TS転生ってやつだぁっ‼︎』①

気がついたらオレ—— 〝田中〟は、何者かに肩をガッと掴まれた状態で、お空の雲の上をカッ飛んでいた。


眼下に広がるのは、最新のVR ゲームでも見た事のない、ファンタスティックな世界…。


高い…。


落ちたら絶対、即死だな…。


あまりの恐ろしさに、一度も猛威を振るった事のない。この、田中の〝頼り無い田中さん〟が、〝ヒュンッ…〟と、縮み上がる反応すら返してこない無反応プリだ。


情けないと思う。だが、何も言うまい。


〝頼り無い田中さん〟はこの、田中の大事な一部なのだから。


〝頼り無い田中さん〟を情けないと叱咤する。


それ即ち、この田中を叱咤すると言うこと。


オレは自分に鞭打つような、ドMの変態さんではないのだ。


鞭よりも、オレは自分には飴を与え続けて甘やかしたい派なのだ。ドロドロに甘やかして、オールウェイズ 自己肯定して生きていきたいのだ。


さて、こんなアホな事を考え続けている間も、何やら〝クルアァ〟という、鳴声っぽいモノやら、〝バッサバッサ〟という、羽音っぽいモノなんかが、オレの頭の上から聞こえてきてるんだけど…。


コレ、十中八九。


オレの肩をガッと掴んでるの、何かの鳥とかだよね?


鷲的な…。


それとも、このやたらファンタスティックな風景からしてドラゴンとかだったりするのかな?


ハハハハハハ……まさか、ね。



「……あにょ、もちきゃちて…どあごんしゃんでしゅきゃ?」



んんーっ⁉︎


何か、やたら舌足らずな声でたーーっ‼︎

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